藍忘機の片思いここは私立岐山温中学校。偏差値平均90以上のとてもレベルの高い中学校だよ。校長先生に大金を渡せば入学できちゃうのでたまに変なやつもいるけど、だいたいはとってもかしこい子たちが在籍しているんだ。
おや?3年1組のクラスの前で額に抹額を巻いた少年がいるよ?
少し見てみようか。
「魏嬰…」
彼の名前は藍湛。やんちゃで元気な魏嬰に片思いをしているよ。お昼を一緒に食べようと、教室の前で待っているみたいだね。今日の藍湛は積極的だ!
* * *
教室に入ってきた藍湛を見て魏嬰がびっくりしているよ。
「魏嬰」
「あ、藍湛!今からごはんか?」
「うん」
「どうした?いつもの仲間は?」
藍湛は姑蘇藍氏のリーダー的存在。いつも周りには彼を慕う後輩がいるのに、今日の藍湛は一人きり。
「今日はいない。君は誰と食事をする?」
「うーん、今日も江澄と食べるよ。今から5組行くんだ」
弟弟子の江澄は5組にいるんだ。江澄はとっても怒りやすいけど、魏嬰はぜんぜん気にしてないみたい。
「魏嬰、良ければ私と」
「いいよ!屋上行こ!」
「うん」
屋上に行くとき、手を引っ張られて藍湛はとってもドキドキしたみたいだ。
* * *
「はー!やっぱ屋上はきもちいいな。風がすずしー」
伸び―!と寝転んで両手と両足で体を伸ばす魏嬰を見て藍湛が幸せそうにしているよ。
「うわ!藍湛のお弁当、豪華だなー!このデザート美味しそう。それ何?」
「ずんだ餅」
「なにそれ!俺のおかずと交換しない?」
「うん」
「どれがいい?俺の弁当もなかなかうまそうだろ?」
「…………辛くないのは?」
魏嬰の弁当はどれも美味しそうな見た目。でもどれもこれも辛そうな色味をしていたよ。
「ぜんぶ辛いよ!」
「…あまり辛くないのは?」
「ピーマンの肉詰めかな。これ作ってる時に辛み味噌が切れたんだ。予定してたよりかは辛くできなかったって言ってた。はい、どーぞ。あーんして」
「!」
「どうした?」
「なんでもない」
藍湛は耳を赤くしているけど魏嬰は気づかなかったみたい。藍湛は素直に口を開けてピーマンの肉詰めを食べたよ。とても嬉しそうにもむもむ咀嚼しているね。
「どうだ?」
「なかなか…しかし、少し辛い」
「あはは!これは俺が作ったんだ。用意してもらったのを焼いただけだけど!」
「魏嬰は料理が好きなのか?」
「ううん。今朝はお弁当のお手伝いしただけ。いつもは台所に立たせてもくれないよ。江澄の分まで全部辛くするから怒られるんだ。でも、ずっと作ってるとこ眺めてるから、料理はできる方だぞ!」
「料理をしてる人の側にいるのが好き?」
「うん」
「‥‥魏嬰、好きな料理はなに」
「蓮根のスープ!」
土曜日、魏嬰のために美味しいお料理を作ってあげたみたいだよ。
ついでに一緒にお風呂も入れてとても楽しかったみたい。
恋が叶うといいね。
おしまい。