想いは夢現に揺られて<若葉色の栞>「教官がうさ団子を全部食べちゃったから…私は団子を食べられないまま狩りに出て、なんもかんも上手くいかなくてクエスト失敗する夢です。」
本当はもっと続きがあるが、なんとなくその先は伏せておいた。言葉にするのも、少し苦しい。
「えぇと…夢の中の俺がごめんね…?」
全く悪くないはずの教官が困惑した様子で謝る。そんな教官の声を聞いていたら少し調子が出てきた。
「嫌です、今度教官が作ったご飯食べさせてくれないと許さないです。」
「それは全然構わないけど…。それであんなに震えていたの?」
「狩りに行ったのが寒冷群島で、寒くて寒くて死ぬかと思いました。」
現実さながらの身を切るような寒さと、悲しさと、全て覆い隠してしまう白い白い景色を思い出す。体の芯まで凍てつくような錯覚に囚われ、ぶるりと身震いする。教官が背を撫でていた腕を回し、抱き締めてくれる。
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