朝から晩まで捜査で駆けずり回って、ようやく僅かな手がかりを掴み帰ってきたかと思えば、すぐに自室へと籠ってしまう。そんな生活を繰り返すボスに食事をとらせる役目は、いつの間にか私になっていた。
コンコンコン。
ノックを三回繰り返せば「はい」と、いらえが届く。許しを得てノブを回し、室内へと入り込んだ。
オフィスナデシコには充分な部屋数が用意されていて、BONDのひとりひとりに部屋が用意されている。僅かな時の重なりの中で、彼に割り当てられた室内はルーク・ウィリアムズの色を纏い始めていた。
パソコンデスクの上に鎮座しているMJのサイン色紙。ひかえめに置かれた小さな絵葉書のセット。事件の捜査内容を記したメモに紛れたスイーツのチラシが机の上に何枚か。
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