フェルサンフリメモあのあと、僕がサンズの部屋にいることを知ったパピルスに招待されてラザニアをご馳走になった。
おかげでサンズに噛まれた痕は全部綺麗になくなった。
噛まれた痕を思い出しながらシャワーを浴びるフリスク
傷ひとつない肌をそっと切なそうになぞる。
ぞくっ…
あれからしばらくこの家で厄介になっているにも関わらず、何もしてこないサンズに思わず悪態が漏れる
「サンズのばか…」
「誰が馬鹿だって?」
「うわあっ?!」
突然現れた骨に驚き大声をあげ…る前にサンズに口を押さえられ「ボスが起きる」低く太い声に腰が疼く
「…にしても、いい眺めではあるが…随分色気がねえな」
一糸纏わない姿だったことを思い出し、驚いたポーズから慌てて前を隠すように身を縮める
「な、なにか用?」
「いんや?お前の方が俺に用があるんじゃねーかと思ってな」
腰をやんわりとなぞられ自分の意思とは別に腿を擦り合わせ…いやこれは言い訳だ
ずっと期待していたその手に切なげな声が漏れてしまう
「んで…の…」「あ?」
「なんで、そんな意地悪するの…」
目にいっぱいの涙をためて真っ赤になりながら、強く抱きしめてくれない腕を恨めしそうに握る
そんなフリスクの視線に口元が歪むフェルズ
「知らなかったのか?」「知ってた…」
ゆっくりと顔を寄せ、焦らしに焦らす。
服がシャワーでびしょびしょになるが気にならない。お気に入りのファー付きのアウターは外に置いてきた。なんだよ、最初からそのつもりじゃないかとフリスクは思う。考えている間にもう既にお互いの呼吸がわかる位置まで接近していた。
「ん…」かぱっと空いた口からトゲトゲの歯が除き、いやらしく舌が合間を縫って伸びてくる。
べろりと唇を舐められ、身体中が痺れるのがわかる。
この先の展開を期待して既に腰が砕け今にも座り込んでしまいそうだ。
いや、実のことろもう力が入っていない。サンズが腕を掴んで支えてくれているからぎりぎり立っているような状態。
「ん、は…ぁ、サンズ…」切なそうに声を上げれば満足そうに目を細めたサンズがこちらを見ていた
「サンズ、お願い…」
「なんだ、はっきり言え」
「……て…」「あ?」
「噛んで…」
「………は?」
想像していた言葉とは違ったのか、思わず間抜けな顔をするサンズ
それに気付かず縋るよにサンズに体重を預けながら懇願するフリスク
「消えちゃったんだ」
「はぁ?」
「ほら、ここ、ここも…全部、消えちゃったんだ」
最初は言っている意味がわからないと言った顔だったサンズ
(思い出した…)
そこも、ここも、あそこも…数日前に俺が噛みついてやった場所だ
痛みでうめき声をあげて、血だらけになって苦しんでいたくせに
身を引き裂かれる痛みを知りながらもこいつは「噛み跡が消えてしまったからまた付けてほしい」と言っているらしい。
思わず笑い出すサンズ
拍子に支えていた手が緩み、ヘナヘナとその場に座り込み見上げるように見つめてくるフリスクの頬はシャワーのせいなのか
それとも………そんなことはもうどうでもいい
「今日は気分がいいから、望み通り泣かせてやるよ」
「…うん、サンズ大好き」
いつもなら覚悟を決めて受け入れる…みたいな顔をしていたが
なんだそうか、あれは演技だったんだな
喜ばせるのは趣味じゃないが、今日はなんだかそういう気分になったから。
今日だけはこいつが喜ぶ声を堪能しようと思う。
次の日、離したくないとでも言いたそうにしっかりと抱きしめるサンズの腕の中で、ボロボロになりながら幸せそうに眠るフリスクを
シャワー室が血まみれだというパピルスの怒声で朝が始まる。