66話「五色の光」感想66話感想
ひとことで言うと、この前の65話から続くこの話は、「マァムの恋愛感情」をかなり強調した構成になっていたなと思いました。
65話「暗黒のヒュンケル」の感想は、Twitterで書いたので、ある程度割愛しますが、この回のマァムの「正解だったでしょう?」も、涙を目にためたマァムにじーんときたので、特に悪い印象はありませんでした。
まず、前段階として、少しだけ65話に寄り道しますが、マァムが「ヒュンケルが何の勝算もなく悪の闘気を受け入れるとは考えられない」で八の字まゆだったのに、そのあとの「もう少し彼を信じて様子を見ましょう」では笑顔になっていて、これは頑張って笑っているんだな、と思いました。楽観できる状況ではない、それでも笑顔で彼を信じようという、そこにマァムの深い理解を感じました。
でも、本当は、不安でたまらなかったのでしょう。だから、ヒュンケルの無事な姿を見たときに、目にいっぱい涙をためていたんじゃないか、そう思いました。クロコダインも泣いてましたし・・・。
見つめあうシーンが不足しているとの感想も拝見しましたが、「正解だったでしょう」の前に、ためがあったんですよね。涙ぐんだ目で、黙ってヒュンケルを見つめるマァム、そしてそれに気づくヒュンケルという間が。
本当は、駆け寄りたかっただろうに、あえて物理的な距離を保ったままヒュンケルを見つめるマァムがいじらしくて仕方ありませんでした。
このあたりの感想を詰め込んで、先日、短編を書き、Twitterにあげた次第です。
この前後は、周囲のキャラもしゃべっていたり、カメラワークが別のキャラを映していたりしているので気付きにくいんですが、レオナの「あなたを信じていたのはダイくんだけじゃないわよ」からクロコダインの「まだ動けるやつがいるぞ」まで二人は見つめあっているんですよね。倒れたさまようよろいが動き出したカットで、ロングで処刑台が映っていましたが、そこでも二人は見つめあっていました。
私は、二人が見つめあっている間を大きくとらなかったのは、この回はバトル回で、この場は戦場なので、テンポをよくするためだろうなと思いました。そのかわりに、よりマァムの心情をはっきりさせるための演出が、あの「涙」だったのだと思いました。
65話が長くなりすぎました。
さて、それを踏まえての66話。
クローズアップされていたのは、マァムの動揺。
エイミによって、ヒュンケルの魔槍が渡されるのを見ながら、これまでにないような表情で、明らかにショックを受けているマァムが描かれていました。ここ、ダイ好きTVでも、「マァムの切ない表情」と言われていましたね。
また、この表情をして「失恋」とツイートされた方もいたようでして、私もそのツイートを拝見しましたが、ヒュンマ推しでなくても、そう見えるんだな、と思い、これは誰が見てもマァムがヒュンケルを異性として気にしているように描く演出なんだと思いました。
よく言われる、マァムのヒュンケルに向ける感情が「聖母」のものであり「慈愛」であるならば、この表情は変です。そうではなく、彼を異性として意識しているから、もっというならば、自覚のあるなしに関わらず恋愛感情を抱いているから、この表情になったのだと思いました。
そのマァムの目の前で繰り広げられたエイミとヒュンケルのやり取り。
ヒュンケルのセリフが「一度は俺から奪った武器を君が渡してくれるのか」と変わったのは、私は、エイミが「武器を返す」ことに主眼を置いたからだと思いました。
以前も鍵アカで書きましたが、公開告白なしでも、エイミが「ヒュンケルに武器を返すこと」を自分でやりたいと、マァムに頼むことはできるのです。また、このエイミの行動について、Twitterでも、牽制ではなく、奪った武器を返したいからだという感想を目にしました。
私は、この時のエイミの行動は、公開告白からマァムに対する「いいでしょう、私が渡しても」まで、牽制以外の何ものでもないと思っていますが、これについては、厳しい内容になりますので、また今度。
しかし、公開告白を知らないヒュンケルからしたら、自分から武器を奪ったエイミが魔槍を返してくれる、ここに重きがあるわけです。ヒュンケルから見たら、エイミは被害者側の一員です。そのエイミに武器を取り上げられたことは、ヒュンケルにとっても衝撃だったのでしょうが、それがここで返ってくる。戦って生きることを認められる。それが大きかったのだと思います。
ここで当たっている焦点は、エイミの恋愛感情ではないと思いました。
新アニメのヒュンケルの表情、言葉の使い方を見ても、エイミに対するそれは、同じアバンの使徒に対するものと違うように感じました。微笑みもせずに淡々と言葉を紡ぐ。視線も、あまり合わせていない。少なくとも体は彼女の方には向けていない。「ありがとう」ではなく「礼を言っておこう」。「俺のために泣いてくれた」ではなく「俺をにらみつけた」
そこには、距離感を感じざるを得ませんでした。
なお、ヒュンケルは、エイミに「俺をにらみつけた」と言っていたので、エイミの言葉は、ヒュンケルにとっては、包容ではなく、叱咤ととらえられたのだと思いました。
エイミの表情も「君の言葉を思い出した」では頬を赤らめましたが、その後、言葉が進むと、真剣な表情に変わります。恋愛要素は低く抑えているな、と感じました。
まぁ、そのあと、レオナに指摘されて、エイミの空気読めてない感が出されるのですが。
エイミが処刑台を行き来するところを描いたのは、エイミのためではなく、メルルのためだろうと私は感じました。
というのも、ノヴァたちが戦っているときにも、処刑台の脇にいるフローラ、メルル、エイミが小さく描かれているんですね。
これは、次に来る、メルルのあのシーンのための布石なんだろうな、と思いました。メルルがそこにいることのアピールです。
マァムの「エイミさん・・・」がカットされたのは、表情でもう十分表現されていたからかなと思います。
メルルの「エイミさん・・・」はもちろん、次週への布石だろうなと。
このように私は理解したので、この66話で、マァムがヒュンケルを異性として意識していることはしっかり描かれたんじゃないかと思いました。
原作では、ヒュンケルの感情は、「想いよ走れ」の「俺ではお前を幸せにできない」に凝縮されていたのですが、マァムのヒュンケルに対する感情は、最初期の「側にいてあげたいと思った」、決戦前夜の「私の気持ちはどうなの。」であいまいなまま来てしまたっため、ここではっきり、マァム側の気持ちを表現したかったのかなと思いました。
しかし、この状態のマァムに、思いもよらない方向からの「マァムが好きなんだよ!!」が来るのかと思うと、彼女の心情、察するに余りあります。
・・・そう思った66話でした。