流星雨 いつもは残酷なほどに冴え冴えと澄み渡る北の精霊たちの気配が、何かを警戒しながら、隠しきれない好奇心から浮足立つように騒めいている。その中心が徐々に屋敷に近づき、とうとう、僅かな怖れと決意に満ちた朗々とした声が響き渡る。
腰を上げ、続く懇願を遮って扉を開けたその先には、オレンジを帯びたエメラルドグリーンや、緋色を輪郭に持つシトリン、研ぎ澄まされた水晶のような光たちが、北の国の濃紺の空いっぱいに細く一条の線を引いて降り注いでいた。
――ヴィネイター流星群
数多の天の塵が、その暗い遥かな旅の最期、ほんの瞬きの間に強く輝き、燃え、夜闇に尽きてゆく。
そんな光に溢れた天の下、地上では頬を切るような冷たい風が雪の粒を蹴立てて吹きすさぶ。その真ん中に、今まさに天を過ぎ燃えていった、灼熱の白を抱いたアメシストの光と同じ色の瞳をした青年が立っていた。
まるで、果てしない宙の中、悠久の旅を超えてここへ尽き果てた流星が、この若い魔法使いにその最期の光を託したかのようだった。