流星群マグカップに温かいお茶を入れ、バルコニーに出る。この辺りは子育て世代が多いせいか、この時間はシンとして、バルコニーの柵の向こうは真っ暗だった。とても静かで、とてつもなく寒い。ここにいると世界にはもう自分しか生き残っていないのではないか、という不安に駆られそうだった。向こうの建物にはちらほらカーテンから灯りが漏れていて、「あ、俺だけじゃなかったわ」なんて当たり前のことを思う。明日も仕事なんだし、寝ないといけないのに。そう思いながらも空を見上げている。
だって起きてしまったのだ。ふたご座流星群が活発に流れるというこんな時間に。元々見るつもりはなかったのに、急にパッチリ目が覚めた。
トイレに行きたいのだと思ってベッドから降り、リビングに出たところで思い出した。夜のニュースでキャスターが「今夜はふたご座流星群の観測チャンスです」と言っていたのを。
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