逆襲されちゃう話「そんな薄い格好だと風邪を引いてしまうヨ」
そんな言葉と同時に立香の肩にふわりとショールをかけられた。淡いオレンジ色のショールは立香が持っていないタイプの物だ。ショールに触れれば、柔らかくて高価な物だって分かってしまう。
(また買ったんだ)
立香の物ではないそれはいつの間にかモリアーティが買って準備していた物だろう。立香が断っても大人の財力だヨ、受け取って欲しいと結局押し切られてしまう。
(それなら代わりに私の血を飲んでくれたっていいのに)
対価ではないけれど、さりげなく髪を触って首筋を晒してみる。あわよくば……と思っていても彼は騙されてはくれない。首筋にショールがさらにかけられてしまった。
「……お礼なのに」
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