胃袋だけじゃ足りない③ 普段は凛々しく整った目元がフワリ、と優しげに綻ぶのが好きだ。
でも残念なことに今、杏寿郎が愛おしげに見つめているのは俺ではなく。
俺の作った芋料理、なんだが……。
『君の作った芋料理は格別にうまいのだ。だからもっと……もっと欲しいっ猗窩座…っ』
『……っっ!まかせろっ♡たくさん作ってやるぅっっ♡♡』
恋人のおねだりに即オチした猗窩座は張り切った。張り切りすぎた。
そして予想通り煉獄は猗窩座が張り切って作った芋料理に夢中なのである。
いや、だって杏寿郎に伏し目がちでもっと欲しいっ…とか言われたら張り切るしかないだろ?
「あの…杏寿郎。そろそろ…」
「んむっ?」
くそっかわいいなオイ。
いや駄目だ。ここは心を鬼(元鬼だけに)にして…っ!
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