7s/キスマークをつける遊ロア遊 ロード研究所にはよくふらりと誰かが訪れる。その日のロアもそうだった。何か用事のあとに寄ったのか、ロアはアコースティックギターを持ってきていて、そのへんの金属の箱へ腰かけて、気の向くままに鳴らしていた。遊我はいつものようにデスクへ向かい、なにかの機械からねじやらビスやら外したり、フェイスシールドをかけてパーツの接合面の研磨をしたりしている。
ギターの音と機械の音が混じる好き勝手な空間の中、何の気なしに遊我へ視線を向けたロアが、手を止めた。パーカーから覗く、遊我の首元へ、ちいさな痕があったのだった。
「なにそれ遊我ちゃん」
ギターを置き、立ち上がって、覗き込んでみる。うなじよりも少し下のあたりが、親指の爪先ほどのおおきさで、痣になっていた。
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