ss いらっしゃ~い!ご無沙汰ですね!と頭から抜けるような声で云われても別に嬉しくもないのが今日も来てしまう。プライベートも仕事も知らないさぐってこない、ヨレヨレの姿をみせても、ぼんやりしていても後腐れのない、だが邪険にされることのない、だらだらとしたただの会話は疲れたおっさんには必要なもんなんだ。
「今日連れいるんだわ」と俺よりは若いキラウシを指し示すまでもなく、きゃっきゃっと嬢がヤツに色々訊いている。
キラウシも普通に嬢と世間話をしているがきょろきょろと店内を見まわしているのを見るとやっぱり留守番させておいたほうがよかったのかと、なんだか可哀想に感じる。
こんな安い、ギラギラした古くさい店にこいつは場違いと感じるがそれは俺の願望の押しつけなのかもしれない。
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