ファングが船員たちとラーマを訪れている夜のこと。
就寝するにはまだ少し早い時間、夕食後からコーダの姿が見えなくなり、気になったエリンは城内の見回りついでに彼の姿を探した。
数ヶ月振りに再開したあいつはのほほんとした王様の横でキャンキャン騒いでいて、相変わらず子犬みたいだな、と思った。
特に変わった様子もなかったので、気に留めずいつも通り接していた。
夕飯時も大人しかったけど、元気がなさそうだなとか、違和感を感じるようなことはなかったし、眠くなって部屋に戻ってしまったのではないか。
そんな事を考えていたら、今宵コーダが借りているゲストルームの前に着き、扉をノックをした。
否、正確にはノックをしようとしたが、扉の先から呻き声のようなものが聞こえて構えたその手を思わず止めてしまった。
950