その日、三十度以上今日はどこ行く〜?
…あの、いつものところに行こ。
いつもの? あぁー、あの、いつものとこね〜。
うん。
蘭の腕が幾度かぶつかってきて、さすがにその仕草に意図があることに気づいてしまった。チラッと隣を歩く横顔を窺う。迷いのある、泳いだ視線とぶつかった。目が合ったのに全力で逸らして赤くなる。
やれやれ、蘭は世話が焼けますなー。
腕を寄せて、えいっと一気に手を繋ぐ。今日は真夏日。お互いしっとりと汗ばんでいるのは暑さのせいだ。変に照れる方が恥ずかしくなる。こういうのは思い切ってやれば案外大丈夫なんだから、と蘭の手をギュッと握った。蘭の指にも力が入る。
太陽がジリジリと心臓まで炙る。去年はみんなでバンド練の帰り道、アイスを食べながら歩いたっけ。今年は、これからは。
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