付き合って1ヶ月。
彼の大きい手を間近で見たのは、食事の時に手渡されたグラス越し。
手の甲の筋や整えられた指先。
そんな彼の手に触れたいと思うようになった。
だが、こんな年にもなっていざ好きな人に手をつなぎたいなんて言えるわけもない。
隣を歩く時なんて少し肩が触れそうになっても身体を大きく揺らしてしまう。
いつも彼にドキドキしてしまい、二人でいる時は心の余裕なんてない。
今日も仕事終わりに彼と公園で夜景を眺めているが、他の恋人たちらしく身体を寄せ合うこと等を考えるだけで心臓が爆発してしまいそうだった。
「そろそろ帰るか。」
「お、おう!そうだな!」
「もう遅いから、送る。」
「あ、ありがとう……。」
何を話したりするわけでもなく、ただ隣に居るだけでも嬉しかった。
2013