猫になりたい次男の話・前編「猫系男子ぃ?」
「そ、今流行ってるらしいよー」
何事も無いいつもの昼下がり、いつもの居間で。いつもの様にナイスガイたるオレをさらなる高みへ導くべく鏡の中のオレと対話をしていると、その鏡の向こうから素っ頓狂な声が聞こえてきた。チョロ松だ。どうもトド松の見ている雑誌の話らしい。すんなり受け入れているトド松の返事に、信じられないという様子でチョロ松が続ける。
「ケッ。意味分からん。猫耳つけて『にゃんにゃーん』なんて女の子がやるから可愛いんでしょ?ヤローがやって何が楽しいの。誰向け?」
「うっわぁー。チョロ松兄さん、イタい。その発想がもうイッタいわー。」
「な、なんだよ」
「そういう意味じゃないんだよ、別にそういう、兄さんの好きな猫系じゃないの。いい?ここ、よく読んで。猫系男子っていうのは~」
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