3/19準備本1
何がきっかけで目をつけられたかもはや覚えていないが、ウミネコと渾名をつけた先輩にフロイドがお呼び出しをくらったのは卒業手前のことだった。
てっきりあれだと思ったので、フロイドはとりあえず目潰し用にポケットに大量の塩を入れて、ついでに「卒業オメデトー」といつでも応戦できるように、店の花瓶からわさっと適当に花も引っこ抜いて束ねて中に鋭利なものを隠して向かった。当時のオクタヴィネルで節目に人通りの少ない場所に呼び出される時の常識だったのだ。
殆ど右から左に流してフロイドはいつ開戦になるのかじっと待ち構えていたけれど、相変わらずの話の長さに辟易し「で?」とご用件は何ですかと聞き返してしまった。
手持ち無沙汰で花束の大半はもう毟り終わって、仕込んであったアイスピックは出番を待ち構えていたのだけれど、ルークの視界には入っていなかったようで凶器ごとそっと手を握られて「私の恋人になってほしい」と頼まれた。
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