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    penpen91420

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    penpen91420

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    蛍火が示す旅情【2巡目】開催おめでとうございます!
    元々は本のオマケにペーパーでつける予定だったのですが
    印刷等が厳しい状況なため展示という形になりました。
    故に短いお話です。
    現パロ/ディル蛍/付き合ってない

    #ディル蛍

    【ディル蛍】夏の日差しが強かったから、「海だーーーーー!!!」
    「こら、クレー、まずは準備運動をしような」
    「はーい!」

    元気よく返事をして準備運動を始めたクレーを、眩しくてつい閉じてしまいそうになる目を頑張って開けて見つめる。今日は、近くに住む小さな友人クレーに誘われ、近所の人達と共に海に来ている。日差しが強い。先に日焼け止めを塗ってくればよかったな、と溜息を吐いて自身の体を見下ろした。少し気合を入れすぎたかもしれない。露出が多い水着を選んだのは、隣で黙々とパラソルを立てている男──ディルックに少しでも意識してもらいたかったから。蛍は近所のお兄さんであるディルックに幼い頃から恋をしている。初恋だ。他の人たちは皆褒めてくれたのに、肝心の彼は「どう?」と聞いてもああ、と一言だけ素っ気ない返事で終わってしまった。幼い頃から知っているからか子供扱いする彼に少しでも女として意識して欲しくて背伸びをしたデザインを選んだというのに、ディルックの表情は何一つ変わらなかった。完敗だ。
    (もっとこう、なんか無いのかな)
    ぶす、と頬を膨らませて、隣に並ぶ彼を見遣ると、何を勘違いしたのかパーカーを脱いで蛍へと着せる。
    「な、なんで着せるの」
    「その格好では日焼けする」
    パーカーに隠されていたのは鍛え上げられた身体。目のやり場に困り、拗ねたようにそっぽを向く。
    (私が照れてどうする!)
    思った以上に大きい彼のパーカーは、すっぽりと蛍の身体を隠す。これでは大胆な水着でどきどきさせる作戦は台無しだ。だが、これで落ち込んでいては時間がもったいない。もし意識されなかったら行動しようと考えていたことがある。蛍は次の作戦へと移行することにした。
    「僕はここで荷物を見ているから遊んでくるといい」
    「じゃあ私もここに居る。」
    パラソルの下、ビニールシートの上に腰掛けたディルックの隣にちょこん、と腰を下ろし、その腕にぎゅ、としがみつく。パーカー越しとはいえ、胸の感触は彼に伝わっていることだろう。大きいという訳でもないが、小さいというほどでもない。男の人は皆胸が好きだと聞いたことがある。我ながら大胆ではあるけれど、こうもしないときっと意識されない。
    だが、甘えるように腕に絡みついて、ちらりとディルックの顔を盗み見るも、彼はやはり平然としている。
    「……暑くないのか」
    「あ、暑いけど」
    「では離れた方が良い」
    「…………」
    この人、もしかして女に興味が無いのだろうか。渋々としがみついていた腕を離し、ビニールシートの上で膝に頭を擦り付ける。遠くではクレーやガイアの楽しそうな姿が見えた。
    自分は何をしているんだろう。虚しい。少しでも意識してもらおうと意気込んで来たはずなのに、実際はこれっぽっちもそういう対象にみて貰えないという現実を突きつけられただけだ。
    「……蛍」
    「何」
    可愛げのない声になってしまったけれど仕方ない。これで追い打ちをかけるように遊んできなさいとか言われてしまったら嫌だな、とディルックの方は見れなかった。
    「その、水着のことだが」
    「……?」
    これはもしや可愛いと言ってくれるのだろうか。ほんの少しの期待を込め、顔を上げる。
    「ここには男だっているんだ、少し露出しすぎではないのか」
    「……は」
    「それに、さっきのように薄着で異性に触れるのはどうかと思う。もう子供じゃないんだ、もう少し考えなさい」
    「子供じゃないっていうなら子供扱いしないで」
    ぶち、と自分の中で何かが切れた。涼しい顔をして説教してくるディルックの上に向かい合うようにして跨る。その余裕を崩してみたかった。
    「蛍、」
    「いつになったら対等に見てくれるの、なんのために私がこの水着を選んだと思ってるの!」
    がばっと勢いよく着せられたパーカーを脱ぐ。さすがに怒られるかな、と思いつつもきっと彼を睨むように見遣れば、そこには心做しか顔の赤いディルックが居た。
    「え、」
    「君はもう少し慎みを持った方がいい」
    「もしかして照れてます?」
    「……」
    頑なにこちらを見ないようにしているディルックに、蛍はにんまりと笑みを浮かべる。
    「ねぇねぇディルックさん、この水着、ディルックさん好きかなぁって悩んで着てきたんですけどどうですか?」
    「……」
    「それとも、私には大人っぽすぎました?」
    しゅん、とわかりやすく肩を落とす真似をしてディルックを見上げれば、彼は大きなため息をひとつ零す。
    「……似合っているよ、とても」
    観念したように絞り出された声に、蛍は楽しげに笑ってディルックに抱き着く。関係性の名前が変わるのは時間の問題だと、二人の様子を遠目から見ていたガイアは頷いた。
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