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    せがわしょうこ

    らくがき放ります! 今は桃英にはまっています!
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    せがわしょうこ

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    まとまっていない!オチが決まったらnoteやらサイトに上がる予定の感想です!

    ##感想

    バディミの感想〜共に父を超える物語〜共に父を超える物語


     2021年8月からバディミッションBONDをプレイし始めた。同年12月末に、最後までゲーム内の物語を読みきった。そして、2022年1月には3本のドラマCDを聴いた。

     たくさん泣いてたくさん笑った。
     いわゆるコンシューマーゲームを最後までプレイしたのは、采配のゆくえ以来。人生で2回目だ。
     貴重な体験をしたので、感想をまとめておく。
     ネタバレの内容となるため、プレイ済み及びドラマCD視聴済みの方及びネタバレしても構わない方向けだ。
     ほぼ1年越しの感想となる。


    プレイし始めた理由



     基本ゲームしない人間として長年生きてきた私だが、2020年にソーシャルゲームアプリのワヒロ(ワールドエンドヒーローズ)に激しくハマったことから、ゲームをプレイすることへの敷居は今までより低くなっていた。

     バディミッションBOND(以下「バディミ」)には元々フォロワー(※ワヒロの感想における「友人」と同一人物)がどっぷりハマっており、同氏のツイートやRTを見る限りどうやらヒーローの物語らしいと推測できたため、ヒーローもの好きとして気になっていた。あと同氏に「せがわ(※私)向けのキャラクターがいる」とも言われていた。
     その時点でかなり気になっていたが、プレイするつもりまではなかった。ゲームは元々苦手であるし、ヒーロー観もものによっては無理であるし、ファンの方々が言う「価値観が令和」「チェズレイはママ」「家父長制からの離脱」等にも本当に自分が見て大丈夫な物語なのか? などと少し怯えてもいた。
     だがある時、同氏のツイートから、私が唯一プレイしきったゲームである「采配のゆくえ」のスタッフがバディミに関わっていることを知った。それなら楽しめるのではないか……? そう思い始めていた。

     そんなある日、同氏が開催しているもくり(作業中通話等を行うアプリ)にお邪魔して少しお話しているうちに、同氏のバディミのフォロワー諸氏が複数いらっしゃった。そして、当然ながらバディミの話題になったのである。私は別に知らん作品の話を聞くのも苦にならないのだが……氏のフォロワーのお一人が「ドラマCDが出る前にやるといいよ!」というようなことをおっしゃった。(言い回しは異なったと思う)
     やります! 私はそう返した。
     その場ではすんなり「やるなら送るよ!」と言ったフォロワー氏だったが、後日「本当にやる?」と意志確認をしてくれた。(相手は私がマジでゲームやらないのを熟知しているため)
     後日氏から私への誕生日プレゼントとして、ソフトが届いた。本当にありがとう……!!!!
     ただ、最終的には氏に一部プレイしていただいた……(後述)



    難易度について

     物語に関する感想の前に、コンシューマーゲームをガチでやり慣れていない者の感想を書いておく。QTE、めちゃんこ難しいな!!!!!!
     簡単に言うとタイミングよくボタンを押すという操作なのだが、異様に難しく感じた。失敗する度にそれまでのパートで増やした「ヒーローゲージ」がなかなか大幅に減少する。ゲームを日頃やらない人にもストーリーを全部読んで欲しいというコンセプトなら、もう少し当たり判定を甘めにしてほしいと心底思った……。
    なぜならば、「ヒーローゲージ」がほぼMAXの状態(ランクS)でクリアしないとお話が最後の最後のアナザーストーリーまで読めない場合が多いからだ。このQTEのパートは章(ミッション)ごとの終盤にあるため、挽回できず終わる……。

     多少練習したくらいではできるようにならなかった。プレイしている中で慣れて最初の全くできない状態よりは多少はマシになったが、全部Sでクリアするにはかなり長い鍛錬が必要だろう。
     一番最初はそもそもゲーム機本体に慣れていないため、ボタンの位置を覚えていないことを要因とする失敗をしまくった。そして場所を把握した後もYのボタンを空押ししてミスしていた期間が長かった。プレイするうちにそのあたりは克服できて、最初はAでクリアしたミッション9などは18の後に改めてプレイするとSでクリアできた。だが、初回がBだったミッション12と18をSでクリアするのは無理だったので前述のフォロワー氏にこの2つを改めてプレイしてもらって、アナザーストーリーまで読むことができた。

     毎回QTE部分があるわけではないのは助かった。
     潜入自体もそもそもマップ操作がヘタクソなのでぶつかりまくり、慣れている人に比べると時間がかかっただろうと思われる。後半へと進むにつれ、だいぶ慣れた。こういったマップ操作に対する苦手意識がだいぶ減って、かなりよかった。これからもマップ操作できる!!!! できるぞ!!!!
     潜入時などの推理に関しては、難易度は高くなかったと思う。捜査手帳がいつでも参照できる=ヒントの暗記が必要ないからだ。なんと親切なのだろう。「マイカ(日本風の国)にゆかりのあるものが描かれた襖の部屋」は全てゆかりがある気がして間違えまくったり、操作ミスでめちゃくちゃになったりするところもあったが、潜入でかなりヒーローゲージを稼ぐことができた。(ただしQTEで失う)

     捜査については、子どもの頃いい頃合いでセーブしておらずデータが消えたことがトラウマになっていたことや、フォロワー氏の助言もありこまめにセーブして進めた。ただしセーブを分けていないことに後悔する場面もあったので、これからのゲーム生(?)ではいくつかに分岐できるように分けるようにしよう。いけるぞ!!



    BOND「つなぐ」物語

     ワヒロでも思ったが、物語性のあるゲームは程度の差はあれども自分が操作することによって物語が進む。そのため、物語の受容そのものが「体験」となる。
     本作はジャンプ系列の作画漫画家・村田雄介先生をキャラクターデザインに迎え、アニメパートでも漫画的な表現をしている。昔懐かしい漫画ビデオのような場面があって面白かった。公式サイトを見るだけでも、少年漫画好きな人をターゲットにしているとひと目でわかる作品だ。漫画で読んでも面白そうだが、漫画ではないことに意味があるとも強く思わされた。それは「体験」であること、そしてゲームならではの「同時進行でサイドストーリーを別個に提示できる」ことにあると私は考えている。

     本作では「手を繋ぐ」ことが物語の鍵となる。そのため、主人公のルークが誰かの手を握る場面では、プレイヤーはボタンを押して「つなぐ」体験をすることとなる。押すとコントローラーが微かに震え、手を繋いでいる感覚を少し味わうことができる。

     手を繋ぐことに関しての物語は、やはりトゥルーエンドと思しきアナザーストーリーにおいて完成されたと思う。
     ミッションを一通りクリアした後の通常エンドは、主人公のルークが手を繋ごうとしたのに繋げずに終わる重要人物が2人いる。その一度は繋げなかった手を繋ぐことができるストーリーが、アナザーストーリーだった。正直めちゃくちゃ泣いた。体験を持ってした後でのやり直しのなんと尊いことか。通常ストーリーを体験したからこその涙だった。

     もう一つのポイント、同時進行で進む物語をサイドストーリーとして提示できること。本編以外の脇道の物語を同じ作品のなかで同時に複数提示できるのは、ゲームならではだと思う。漫画の並行連載などとはまた違う味わいだ。ワヒロではこれにメチャクチャにされた。(メインストーリーではなくキャラクターのサイドストーリーでしか描かれない要素で狂ってしまったため)
     バディミのサイドストーリーは本編(ミッション)1話ごとの補完としての要素が強い。読むタイミングはミッション終了後のサイドストーリーが開放された時が良いと聞いていたが、その通りだった。ミッション中のエピソードやキャラクターの掘り下げであることが大半だ。バディエピソードに関しては、特にルークとチェズレイのストーリーは本編にないが重要な要素が多いと感じた。


    次からはキャラクターごとに物語の感想を書いていく。



    記憶の物語〜ルークのこと

     私は「記憶の物語」に非常に弱い。記憶を思い出す、忘れる、覚えている……。バディミは「主人公の記憶」がとても重要な鍵になっている作品だった。彼のなくした記憶こそが物語をひらく鍵だったのだ。

     本作の主人公のルーク・ウィリアムズは、明るくまっすぐで正義感の強い青年だ。正義のヒーローに憧れ、現実におけるヒーローを父のエドワードのような正義感あふれる警察官とし、本人も警察官になったが……彼のいる警察組織は腐敗しきっていた。
     忸怩たる思いを抱える彼のもとに、囚われた女性の映像が送られてくるところから物語が動き出す。

     物語が始まったころのルークがはっきり持っている一番古い記憶は、児童養護施設の記憶だ。それより前の記憶は断片的だった。

     良くない児童養護施設で暮らし、笑顔をなくしていたルークだが、エドワードに引き取られ共に過ごすうちに笑顔を取り戻し、食べる喜びを感じ、ヒーローとバスケが好きな元気な少年として育っていく。だが、ある年のクリスマスに父エドワードが帰らぬ人となった。そこから、自らが父のようなヒーローになるという気持ちをより強くする。

     メインストーリーはほぼルークの目線で進むので、ミッション14と15の衝撃はハンパではなかった。物語の内容自体も衝撃だったのだが、いつも元気なルークが完全に絶望しきっているのが何よりも辛かった。それだけで涙が出てしまった。

     ルークがとにかくめちゃくちゃいい奴なのがいい。苦労人だしな……。青臭く理想を語ってそれを実行し、しかも食べ物をめちゃくちゃ美味しそうに食べる。食べ物を褒める語彙が非常に豊富だ。食いしん坊の文系としてはこれほど良いと思うことはない。作中の食べ物がめちゃくちゃ美味しそうに感じた。美味しいかどうかはともかく、はずれまんじゅうについてはどれほどの甘さか一度食べてみたくなった。
     架空のヒーローものも大好きで、作中作『ニンジャジャン』にも夢中になる。いい奴だな〜!



    心、エドワードのこと
     手を繋ぐことのあたたかさをルークに教えたのも、ルークと手を繋ぐことを鍵にしたのも、ルークの手を拒んだのも、そしてきっといつか受け入れるのも、この男なんだよな……。
     始める前は注目していなかったのだが、最終的に一番心を乱されたのはこのキャラクターである。

     死んだはずのエドワードが黒幕だったことも驚いたが、まさかアナザーストーリーの最後の最後にエドワードのことで号泣するとは思っていなかった……。
     自分に「感情がない」と自認しているエドワードが己の目的のためにだけ連れて来た子ども・ルークの苦しむ姿に動揺していたこと……それをルーク本人にに話すところ、一瞬蛇足ではないかと思ったが、それを聞いたルークの涙と、いつか彼を本当に救うのだろうと思わせる発言を聞いて……私は泣いた。催眠によって相手の話を聞き出すことを得意とするエドワード(やチェズレイ)によって対話の中で古い記憶を掘り起こされようとしていたルークが、今度はエドワードに幼い頃の話を訊くことでエドワードのことを理解しようとする。スーパー大必須エピソードだった。いつかルークが、本当の意味でエドワードを救うのだと思う。
     幼少の自分のもとに青年のルークが現れて、優しく話を聞いてくれて手を繋ぐ、そんな光景を思い浮かべて「……フ」と笑うエドワード……。あかんでしょ。泣くわそんなもん。私は狂気の擬似親子オタクなので、特にこういう擬似親子逆転みたいなのに滅法弱いのだが!?!?!?!?

     ドラマCD vol.3ホリデー・バーレルのラストもずるいとしか言いようがない。なんだこれ……。なんなんだ……? エドワード、ずるいな……?(混乱)
     最終的に本作の男と男の関係で一番好きなのはこの二人である。なんなんだこれ。びっくりだよ。


    マイカの因縁・フウガのこと

     「せがわ向けのキャラクター」と言われていたのは、フウガだ。日本風の国「マイカ」の主であり、ヒロインのスイちゃんにとっては伯父にあたる。基本は微笑んでいて落ち着いた雰囲気でCV子安、ビジュアルや設定を見る限り確かに好みの雰囲気なのだが、実際にゲームの中で遭遇してみると意外とそうでもなかった。
     というかびっくりするほど刺さらなかったのである!!!!!!!!!
     プレイしている時に思ったことは、「あまりにも小物すぎる」ことだ。自分が継いだ国を維持するために出て行く者を陰で殺させているというのは、目的もやっていることも小さすぎる。「身近な者や領民を犠牲にすることも厭わない冷酷な権力者」自体は好きである。ただせめて領土を拡大するためくらいの理由は欲しい。維持が目的なのに非道な時点でもう違うんだよなあ〜〜〜。最終的には本人にとっての敵国を物理的にぶち壊すつもりではあったわけだが、これは単に煽られたからであるし、その後の展望は具体性に欠ける。
     一通りお話を読み終えてから思うことは、「特に思想も理想もないんだな……」ということである。単に自分の孤独や矜持を満足させるためだけでこれは正直、ちょっとな……。あんまり丁寧に描写されていない敵キャラの方が勝手に思想や理想を付与して勝手に興奮するレベルである。正直、変革の思想さえあれば、ロクな思想でなくても良いので何かしらほしい(※あくまでキャラクターの好みであり現実の人間に求めることとは異なる)。エドワードは理想の世界を求めたので、あっちの方が刺さった気もする。
     孤独がある程度推進力になっていたり、考えていることに関する理解者がおらず孤独、孤高の権力者……ついてきてくれている者も切り捨てる……などは大好物なのだが、なのだが……。フウガの場合は、あまりにも自分の個人的かつ人間的な感情に支配されており、そこで何かを変えようという気概が全くない……。本性を知ってもついてきてくれている家臣も、行いの内容でついてきているわけではなく、親しみの情や哀れみからついてきてくれていて……その上個人的にはフウガの境遇はさほど可哀想とも思わんのでnot for meであった。すまん。
     可哀想とも思わん理由は、根源的な孤独を抱いていないからである。家族と縁が薄かったり、逆に親に殺されかけていたり、そういうのは好きなのだが、フウガは別にそういうわけでもない。回想を見る限り、家族はフウガを大事にしていた。そして本人も本当の意味で家族を厭うているわけではない。(父を手にかけたしやばい奴ではあるが、それは愛情の裏返しだしな……)妹イズミとの関係も悪くなかったようである。それゆえにエドワードの策にかかったようだ。本作においてはそもそも家族との縁が非常に薄い人が多く、なんならそもそもフウガが家族との縁を断ち切ってしまったせいで苦しんでいたキャラクターもいる。悪い奴である。いや悪い奴なのは別にいいのだが……。むずかしいね!

     とまあ、自分の中の権力者萌えと向き合うきっかけにはなった。ありがとうフウガ。

     もちろん、別にフウガが孤独を拗らせているのも、全て本人が悪いというわけではない。フウガが孤独を拗らせた理由は、自分より実力のあるモクマが自分以上に父に目をかけられていると感じたことへの嫉妬・羨望が大きい。
     はっきり言って父・フウマがいけなかったと思う。フウガに対しては、モクマを部下とし上手く為政者として振る舞えるように教育すべきだった。自分が治める里の維持を考えれば、そうすべきだろう。大人になる過程で教えていくつもりだったのかもしれないが……。フウガがモクマに対して嫉妬や羨望の感情を抱いていることには気付いていたようなので、なおさらである。父親がちゃんと言っておけばよぉ! というのは今川版ジャイアントロボの幻夜感がなくもないが、そんなら一度全て失ってほしい……。表向き継承した上でそれは虫が良すぎんか……。妹との関係の終焉もあっちのほうがエゲツない。
     そして、モクマ自身が後で思う「自分(モクマ)がフウガにしっかり向き合わなかったから」も大きな要因だ。モクマは、フウガに自分の考えを説明して理解してもらうことや逆にフウガから話を聞いて相手を理解することを怠った。このことはモクマがチェズレイとぶつかって理解し合ったからこそ気づけたことだ。モクマがフウガと好敵手兼主従のような関係になっていれば、あのようにフウマが死ぬことは無かっただろう。

     物語全体を見れば、フウガは状況を進めるための大きな鍵となっていた。非常に重要なキャラクターだったのではないだろうか。息子の存在も興味深い。(ここもなんかあんまりな……普通に興味無い

     内容からは離れるが、大人と幼少期のフウガの声をそれぞれ実の父と子が担当しているという父子共演が聴けて面白い。子安光樹さんが父を超える日を楽しみにしています!
     



    チェズレイのこと〜ほんとに母だった〜

     バディミのファンが口を揃えて「チェズレイはママ」と言っているのを横目に見つつ、どういうことなのかとビクビクしながらプレイした。
     プレイしてわかったが、チェズレイ自身が己の母に己を重ねていることと、優しかった母のような気持ちでルークに目をかけるところ……確かにママだった。自認であるし、文句の付け所がない。なんだこれは……。私は「包容力のあるキャラクターをママとか言うのはもうやめにしようぜ派」なのだが、チェズレイは自分で自分を自分の母と重ねているからな……。だいぶ違うが、今はもう側にいない母と己を重ねるところは『はみだしっ子』のアンジーを思わせる。これ以外もモクマとの関係やファントムへの複雑な心境とその変化など、チェズレイ絡みのエピソードは本作の中でもとりわけ白泉社の少女漫画っぽいと感じた。70〜80年代の白泉社の少女漫画の令和版が見たい方は、ぜひ読んでみてほしい。
     基本的には少女漫画のキャラクターのように線が細く非常に見目麗しいチェズレイだが、興奮時の顔は藤田和日郎の漫画の悪役のようである。不思議なバランスのキャラクターだ。


     最高の男、アーロンのこと
     最高のヒーローの相棒、彼もまた最高のヒーローです(号泣)
     幼い頃にアーロン(ルーク)が今のルーク(ヒーロー)に自分の名を与えてまで助けた回想のくだりでは声を抑えきれずにガチの号泣をした。
     薄々「ルークの記憶にあるこの手はアーロンなのかな?」とは思っていたしミッション14の時点で「アーロンがルークだった」のははっきりわかるのだが……アーロン自身の強い意志で起こったこととは思わんやろ!? 引っ込み思案な少年だった彼のとんでもない行動力に驚かされる。私のいちばん大好きなものは人間の強い意志です! よろしくな!
     アーロンはコンテナにヒーローが来た時、どう思ったんだろうか……。などと思うと今でも少し目が潤む。昔のことを忘れているのに昔と同じようなことを言うルークにイラつきながらも、せっつきもせずなんだかんだ共に行動するアーロン、いい奴すぎるだろ……。
     ヒーロー少年を見て最初は自分もヒーローのように人を守りたくて、家族といえる仲間の少年たちを何人も失い、それでも家族を守るために戦うアーロンは真のヒーローだよ……。なんて美しい心を持っているんだ……。
     これからもこの2人のヒーローは長い長い縁の中で結ばれた相棒であろう。爺さんになっても一緒に事件解決してくれ!!!!!!!
     ドラマCD vol.1では退行催眠モードのルークとのやりとりを聴いて「一体何を聴かされているんだ……?」とはなったが……。アーロンとしてもより整理がついて良かったのではないだろうか。
     アーロンとアロナが血縁関係なくても完全に姉と弟なのもいい。アロナ、好きだ……。
     ルークとのバディエピソードは泣いてまうやろ……だし、モクマとのバディエピソードはモクマに懐いていてかわいいな……。なのだが、チェズレイとはマジで仲が悪いというか完全にアーロンばっかり常にツッコミさせられて、おもしろいが少しかわいそうだった。


    忍者おじさん、モクマのこと
     一見ノリが軽くてどうしようもないおじさんだが、実はめちゃ精神的に重くてかつ強いおじさんである。昼行灯に見せかけて実力者おじさん好きな人にオススメだ。パトレイバーの後藤隊長とかFGOのヘクトールとかそっち系だ。
     ルークとのバディエピソードが毎回食事ネタで良かった。私もモクマと同じように、おいしそうに食べるルークが大好きだ。ルークがルークなりにモクマを案じているのも、年長者としてかっこつけたいモクマも良かった。アーロンとのバディエピソードもルークとはまた違う意味で先輩後輩っぽい、というか師弟のようで面白かった。
     チェズレイとの関係は、まあ一生一緒にいたらええやん〜良かったね〜という感じである。お互いがお互いのためになっているな……。ドラマCDは一体何を聴かされているんだ……となった……。チェズレイについてでも言ったが、昔の白泉社の少女漫画っぽい。彼もチェズレイに救われたし、チェズレイも彼に救われたのだ。良かった……。


    強く優しい頑張り屋の歌姫、スイちゃんのこと
     めーーーーっちゃめちゃいい子である。若年ではあるが、プロ意識が高くて正義感も強い。母の血縁の話になった時は、架け橋になろうと努力した。重みや辛さに耐えかね、ルークの前で涙したこともあった。だが決して折れない。
     ルークとは食べ物の好み(甘党)も趣味(ヒーローもの好き)も重なっており、しかもルークに何度も助けられて「私のヒーローはルークだよ」となっており……。もしかして二人は実の兄妹だったり……するのか!? と思ったがそんなことはなかった! しかも明確にスイちゃんはルークへの慕情を表明した……! 2人がくっついてくれたら最高じゃん!? などと思った! だが! バディミは令和の倫理観なので20代の青年であるルークは10代のスイちゃんと交際始めたりしないのだ!
     作中で泣いてるスイちゃんを慰めるときも抱きしめたりしない! ラスト抱きつかれても抱き返したりしない! スイちゃんがルークに告白した時、スイさんが大人になっても気持ちが変わらないならまた聞かせてください、みたいなことを言ったのだ! スイちゃんが大人になった後の2人の物語が楽しみだ。2人の絆もこの物語の中でしっかり繋がったし、きっとコズエ様も喜ぶだろう。
     正直、並の大人以上にバリバリ働いているスイちゃんの安らぎにルークがなってやってやってくれや……と思うくらい本編終了後のスイちゃんは大変そうだった。こちらもドラマCDホリデー・バーレルの話だが、大学生で社長でスーパー歌姫なんて……。その上スイちゃんは、深く心が傷ついている兄のために毎日電話をする。いやいや、さすがにやりすぎでしょ。ルーク、彼女を支えてやってくれや……。

    スーパーかっこいいナデシコさんのこと
     ビジュアルも口調もその強さも一番夢殿先輩っぽくないか!?(唐突な夢ジェネ)
     腐敗しきった警察組織をぶち変え頭になった女!!!!!! かっけえ!!!!! CV田中敦子!!!!!!! かっけぇ!!!!!!!! BONDの名付け親!!!!! つええ!!!!!!
     モクマとはこれからもいいお友達でいてほしいところである。初恋は青春の思い出にしておいてもろて……。

    罪の意識バリバリの優しい青年、シキのこと
     あまりにも服が和風モチーフなので「マイカと絶対関係あるだろ。怪しいな……」と思っていたのだが、本当にあった……。
     だがミッション本編でのシキの死ビデオレターがあまりにも可哀想でめちゃめちゃ泣いて完全に嘘の経歴を信じてしまった。彼の持つ罪の意識自体は本物だったからしょうがないよな……。(自己正当化)
     アナザーストーリーで本当にルークと手を繋げて、良かったな……。ずっと孤独で誰とも繋がっていないと思っていたシキ、同じく自分は誰とも繋がっていないと思った瞬間があったルークにこそ同じ立場で話を聴くことができるよな、と思った……。そして時計から流れるアッカルド夫妻の愛情に満ちた言葉の数々に泣いてしまった……。
     AAAの意味もあまりにも悲しすぎて泣いた。でもこれからは妹のスイちゃんをはじめとする血縁者も血縁者以外(ゴンゾウである)も含めた「シキの家族」がいるんだよな。良かったな……。イアンともこれからも絆を深めていくのだろう。シキが勇気を出したのも良かった。どうか幸せに生きていってほしい。

    絆を繋いだ人々
     シキとスイちゃんの祖母であるコズエさまはとても好きなキャラクターだ。夫は早くに亡くし、娘は駆け落ちで里を離れ、頼りにしていた息子は実は裏で複数の悪事を行なっていた……。辛い立場すぎないか……。彼女も孫やその周囲の人々に囲まれて、穏やかに暮らしてほしい……。
     
     飛行機のスタッフたち、歴史博物館の人、宝石屋の母子、おカンさん、巫女たち……。面白いキャラクターが他にもたくさん出てくる。トゲのアニキ! 兄弟の話も面白く読んだ。
     ネーミングも良い。特ダネを狙うネラーエ・トクダさんが特に好きである。



    父を超える物語


     ルークとアーロンの主人公バディは、最後は2人とも父の因縁によって戦うことになる。アーロンは、自分の父が作ったシステムを止めるために。ルークは、実際の下手人となっている父エドワードを止めるためだ。
     すごいところに話を持って行ったな、と思った。

     この作品を「家父長制からの離脱」と評する声をTwitterで見て、そこに少し不安があった。そら現在の現実の世の中において男系の世襲なんぞアホのやることだと思うが、フィクションにおいてはちょっとおもしろいと思っている節があるからだ。

     チェズレイは実の父親を憎んでおり、エドワードに父性を感じていたように見える。エドワードにも裏切られて、彼を憎んでいた。モクマはフウガの父であり己の主君のフウマを殺した罪で、長く過ごしたマイカの里から逃げて暮らしてきた。
     4人とも父やそれに近い存在との因縁があった。そして、結果的に協力し合いながら乗り越えた。

     「家父長制からの離脱」のトドメの一手だと思われるところは、父を乗り越えた上で、スイちゃんが父の会社を受け継ぎ父を超える存在になろうとしているところだ。誰かに決められたわけではなく、彼女がそれを望んだからだ。
     男子が父を否定する物語、それだけでは家父長制の否定とは言えないだろう。だが、この物語は、その上で父の名跡を、自分の意思で娘が受け継ぐ。それも丁寧で違和感のない展開で、だ。父の姿だけではなく、その願いを誰よりも側で見ていた彼女こそが、アッカルド社を受け継ぐに相応しい存在だと思わされる。「血縁者だから」という理由だけではないところが好きだし、美しいと思う。(ただ……大学生やるんなら学生のうちは社員の誰かに社長代行を頼んでもよかったとも思うが……)
     この物語は、この二つが話のど真ん中で重なる。すごい。すごいぞバディミッションBOND!

     オチ考え中!


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