ひとの上に立つ覚悟賢者の仕事とは、多岐に渡る。
任務や依頼の内容はさることながら、各国の財政界や領主との会談、そして。
「夜会への参加ですか…。」
晶を絶賛悩ませているのが、この貴族主催のパーティーへの参加だ。平凡な一般人である自分が、礼儀やマナーすらままならないのに、『賢者』という肩書きを目当てに多くの誘いが舞い込んでくる。世界の危機に立ち向かう救世主と崇めてくる人も中にはいるが、実はそれは少数だったりする。大半の目当ては興味本位か、あるいは晶の向こうにいる魔法使い達の品定めだ。自分たちに害する気はないか、賢者はきちんと手綱を握っているのか、あの手この手で無遠慮に切り込んでくる。今後の事を考えて、出来るだけ角が立たないよう、なんとか躱し続けているものの、全てを断るわけにもいかない。現に招待状を持ってきたクックロビンは、申し訳なさそうに平謝りしていた。
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