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    soseki1_1

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    soseki1_1

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    ショタノワ🔮を膝の上にのせて食事の世話をするリズ🤕先生
    (リズノワ/傭占)

     眼前にて震える子供をどのようにするべきか。瞼の裏。夢の中。食事を始めてから数分ほども経たないうちに、リーズニングの思考は手元に行儀よく並ぶメインディッシュのことではなく、そのことばかりに捉われるようになった。
     目の前で同じように食卓についているはずの子供。背丈が随分小さく、体も細い。仕立ての良さげな服を剥ぐまでもなく、栄養の不足を何処となく感じ取れる矮躯は食事を欲しているはずだ。
    しかし子供の手は中々進まない。メインディッシュの他にもスープや白く柔らかなパンなど、弱った胃に心地のいい食べ物はある。それから慣らしていけばいい。けれどもその手は震えるばかりで、加えて、手と同じように震える唇もひと言とて発さないのだ。真白い顔色からして、彼が何かに怯えているのは明らかだ。しかし何に。自分の他には誰をもいない夢の空間。この探偵事務所を模った空間のどこが、彼を怯えさせているというのだろう?
     リーズニングは内心、そこそこに困り果てたような心地であった。そも、彼は子供の相手を得意としない。知恵の実る頭脳では感情と本能で動き回る様を中々理解できなかった。対して、子供の方からは何故か懐かれるものだから、度々応対に弱ったものだ。
     けれどもこの子供は、そうでないようだ。この家に連れられるときも、連れられてからも、彼から警戒の色が失われることはない。常に左半分が包帯で隠れる顔を少し硬らせ、体をぎこちなく動かしている。人見知りの質なのだろう。普段であればそれだけで済ますところであったが…それが、リーズニングには困ったことであった。
     なにせ、リーズニングはこの子供と面識があった。正しくは、この子供の背丈がもう幾らか伸びた頃と出会っている。髪の色も目の色も異なるが、リーズニングにはこの子供がホワイトという名になるだろうことが何となしに分かった。理由はと聞かれれば……彼には珍しいことに、明確な証拠を並べることはできないものの、ひと目見た時から、これはホワイトだと理解した。夢の中の設定というところだろうか。意識も明確なことから明晰夢じみているが、それにしても不可思議な世界を作り上げたものだ。
     眠る自分に嘆息を吐きながら、リーズニングは眼前へと目を戻す。夢とはいえ、共に食事を並べる人間だ。そしてそれが知り合いの……愛おしい子供となれば、どうにか穏やかに食事を成してほしいと願うのは当然のことで。
    「…ッ、ぁ」
     カラン、と軽やかな音がして、リーズニングは視線を改めて眼前へと投げかける。どうやら、子供の手がナイフを取りこぼしたようだ。
     怪我はしていないか。服が汚れてはいないかと、リーズニングは立ち上がり、すぐに子供の元へと向かう。ナイフはテーブルの下、床へと転げ落ち、子供の肌にも服にも触れていなさそうだ。安堵しながらナフキン越しにそれを拾い、子供を見上げて…リーズニングは怪訝に眉を寄せることとなった。
    「ご、…っ、ごめ、な、…さ……」
     子供の顔色が随分悪い。唇が震え、そこからか細い声が漏れ出している。ナイフを取りこぼした片手は強く握りめられ、フォークを握る片手は…これだけは落とすものかと決心するかのように、肌が白むほど握り締められていた。晒された片目に水の膜が張り、今にもこぼれ落ちかねないほど揺れている。
     明らかに、恐怖の有り様だ。しかし何故、こうも怯える必要が?
     リーズニングは考えて……そうして理解した。聡明たる思考は少ない情報で考察を終え、結論に辿り着く。息を吐く。この子供が負ったあまりの苦痛に。
    「…っ、め、なさぃ……ッ」
     ナイフを取りこぼした片手の手の甲は、赤く腫れた跡があった。つい数日前に完治したばかりだろう傷だ。幾度も同じ傷をつけられ、元の白色に中々戻れなくなっている。手の甲を負傷するなど、自発的には中々あり得ない。けれども他者から負わされるのなら容易だ。例えば、食事の時。背後から鞭を打つなどは容易いものだろう。躾と称した鞭を、大人が子供に与えるのは、とても。
     そう考えれば、少年の怯える姿のほとんどが理解できた。ナイフを取りこぼすなど、マナーとしては最悪だ。いつもならここで、幾度も鞭を打たれていたに違いない。この子供はそれを待ち構えているのだ。腫れた手で、それも片目の視界ではさぞかし食べ辛いだろうに、この子供はそれでもこの食事という地獄を完遂しようとしたのだ。
    つまり、普段から逃げられない状況に置かれている。子供が逃げ出せないところなどひとつ、家庭くらいなものだ。それは、あまりにも
    「……君、…名前は」
    「え…っ」
    「…名前はないのか?」
     ホワイトの幼少期だといえ、そのままの名前であるとは考えにくい。そもそもホワイトという名前自体は、探偵事務所に拾われてからつけられたものだ。彼の本来の名を、リーズニングは知らない。となれば、夢たるここで返ってくる答えもないものだろうか。それとも、記憶がそれとない名前を付与させるだろうか。どちらかに予想をつけながら、リーズニングは尋ねた。決めつけるのではなく、この子供の意思を尊重したいと思った。
    「…の…ノワール、です」
    「そうか。ノワール、椅子から降りられるかい」
    「……は、ぃ…」
     辿々しく名を答えた子供は、命じられると大人しく従った。その暗い面持ちからして、椅子から降りなければならないほどの罰を受けると思っているのだろう。その様に眉を寄せかけながら…リーズニングは空となった椅子に腰掛けた。そして片腕をノワールに差し伸べながら、自身の膝を指し示す。
    「ここにおいで」
    「……えっ?」
     震えて罰を待つばかりであった子供は、掛けられた言葉の柔さにパッと顔を上げる。黒曜石の如き丸い眼には、年相応のあどけなさがあった。それに不可思議な郷愁を抱きながら、リーズニングは言葉を続ける。
    「登りにくいだろう。身体に触れても?」
    「は、……は、い」
    「ありがとう」
     許可を取り、子供の身体をそっと持ち上げる。両手で抱き抱えた矮躯はあまりに軽く、リーズニングは思わず眉を顰めたものだ。それをなるべくすぐに解きながら、己の膝へとノワールを乗せる。
     硬直しきるその身を感じながら、リーズニングはテーブルに並ぶ食事のうち、パンを片手にとった。もう片方の手で小さく千切ると、それをノワールの口元へと持っていく。
    「ほら」
    「…………、…っ?」
     ノワールはどうしていいかわからないようだ。僅かと息を詰め、震える体をそのままに動こうとしない。何をされているかも分かっていない様子を察し、リーズニングはなるだけ柔い声を掛けてやる。
    「片目もなく、手も腫れている。食べづらいのだろう」
    「……っ!」
    「こうすれば幾らか食べやすいはずだ。腹が満たされれば、素直に言えばいい。嫌いなものもな」
    「…………」
    「だが、パンくらいは食べてくれ。君の体は軽すぎる。少し肉をつけなければ」
     リーズニングが告げる最中も、告げた後も、子供は動かなかった。否、震え続けてはいたが、その口を開くことはなかった。これは失敗したろうかと、頭を悩ませていた最中。膝下から水っぽい音が聞こえ……リーズニングは目を瞠る。パンをテーブルに置き、ナフキンで手を拭って、小さな頬へと指先をあてがえば…その白い頬に濡れた感触がある。それによって、あの黒く美しい瞳から涙が溢れ落ちていることを知る。
    「、っ……ふ、ぅ………」
    「……ノワール」
    「…っ、ぁ…、ッ、…ご、ぇ……な、さ…」
    「大丈夫だ。ノワール、大丈夫」
     膝に乗せた身体を横向きにさせ、両手で抱き締めてやる。片手で背中を撫でながら、ゆりかごのように体を微かに揺らす。
     子供は俯いたまま、暫く泣き続けた。固まるばかりであった体がリーズニングの胸に擦りつくようになった頃には、この子供をどこにも行かせたくないと……リーズニングは柄にもなく思ったものだった。
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    soseki1_1

    PROGRESSハネムーンクルージングを満喫してるリズホワ/傭占
    (この後手マ♥でホワ🔮を5回はイかせるリズ🤕)
     麗らかな金色に白いベールを被せるハムエッグ。傍らに鮮やかに彩られたサラダを横たわらせた姿は、実に清々しい朝を連想させる。大皿の横に据えられた小皿にはフルーツドレッシングが揺蕩っており、そこから漂うさわやかな香りもそのひと役を買っていた。焼き立てのパンを詰めた籠を手渡したシェフ曰く、朝食時には一番人気のドレッシングらしい。客船に乗ってから数日、船員スタッフは慣れた風に微笑み「良い朝を」とだけ言って、リーズニングをレストランルームから見送った。
     依頼人から報酬代わりのひとつとして受け取ったクルーズは、リーズニングに思いの他安寧を与えている。慣れ親しんだ事務所には遠く及ばないものの、単なる遠出よりは幾らも気軽な心地で居られている。「感謝の気持ちに」という依頼人の言葉と心に嘘偽りはないとは、この数日で理解できた。クルージングの値打ちなど大まかにしか理解出来やしないが、おそらく高級な旅を与えられている。旅行に慣れない人々を満喫へと誘うスタッフの手腕も相応だ。乗船前は不信感すら抱いていたリーズニングも、今はこうしてひとり、レストランルームへ赴けている。満喫こそしているものの、腑抜けになった訳ではない。食事を部屋まで配膳するルームサービスは今なお固辞したままだ。満喫しつつ、警戒は解いて、身なりを保つ。この塩梅を上手く取り持てるようになった。
    2319

    soseki1_1

    DOODLE知らない間にフル⛏になって教🧪を愛でてる探🧲と、それを受け入れてる教🧪と露見 探教/フル教
     白いシャツが似合う人だった。だからその下にある青黒い痕がよく映えていた。
    「ムードがないね」
     いきなり服を剥かれたあの人は、切り傷を伴った痣を腹に晒したまま、慣れたふうに微笑んでいた。
    「相変わらずだ」

     少しずつ可笑しいと気付いた。最初は記憶が飛ぶ夜が続くこと。その夜の後はいつも決まって部屋にいると気付いたこと。それからあの人の様子。僕が記憶を飛ばして、自室のベッドで目を覚ました日。あの人はいつも決まって悪い顔色をしていた。この荘園には肌も何もかも髪だって白いやつもいて、片目の上に青痣を引っ付けてる奴もいる。試合が終わった後は大抵悪いもので、それを次の日に持ち越す奴だって稀じゃない。でも僕は、あの人の肌色だけはよく覚えていたから。だからあの人の、海に輝る太陽に焼かれた方がもっと似合うだろう肌が、部屋に篭っているからいつまでも白い肌が、首元辺りに宝石みたいな鱗が浮き出ている綺麗な肌が、その日だけ決まって悪いことにも気付いた。で、何でだろうと考えた。ハンターの中に苦手な奴がいるのか、それとも薬でもやり始めたか。規則性を見出そうとして、見つけられたものが僕の記憶の欠落と目覚めのことだった。それまでは、酒に溺れて酔いに感けたのだろうと思った。安酒には慣れているけど、それなりの品にこの体はちっとも慣れていない。だから食堂だとか談話室だとかに集まって飲んだ後は記憶が朧げなときも稀にあって、その程度がひどいんだろうと思っていた。でも思えば、僕は記憶が霞むことはあっても、飛ぶくらいに酷い酔い方をしたことなんてなかった。そんな無警戒な真似はするはずがなかった。じゃあなんで記憶が飛んでるのか。僕の体がおかしくなったのか。それがどうしてあの人の青い顔色に繋がるのか。色々考えて、僕は、体に埋まった石ころのことを思い出す。
    2002