アンブロシアと贄の夢これだけは、ゆずれないもの
ある、これは確かに譲れないものだ……【また、姉に会いたい】、この願いは確かに相手が双翼帝だったとしても譲れないのだ……それに、姉に会うためにはあの村を、彼女が還る場所を残しておいてもらわなければならないのだ
昔、龍に連れ去られてしまった姉さん……モモカ姉さんのことを思い起こしていた。彼女は橙色の髪に群青の瞳が綺麗な、愛らしい女性だった。その容姿がオヤのお気に入りだったのか、そもそも第一子だからか、村の人にもオヤにも愛されていた……俺とはまるで正反対な扱いを受けていた
でも、そんな姉さんは俺の事をちゃんとした弟として扱ってくれていたのだ……時折果物を持ってきてくれたり、話し相手になってくれたり……嫌々だったかもしれないけれど、すごく嬉しかった。だからかな、姉さんが連れ去られた時、俺のせいだと、贄のせいだと、沢山罵られたんだ……でも、そんなことで姉さんが帰ってくるなら安いものだった…結局帰ってこなかったけれども