【萩景】化学の萩原先生と生徒景光の秘密の関係(18↑) 部活の無い木曜日。
授業終わりに化学実験室を訪れるのが、オレの密かな楽しみだった。
周りに誰もいないことを確認して、化学実験室の扉を開ける。電気の切られた部屋は大きな窓から差し込む夕日の色に染まり、部屋の隅には暗闇が転がっていた。
木製の四角い椅子が収められた黒い実験台を通り過ぎ、上下にスライドする黒板の横にある扉をノックする。普段生徒が立ち入ることの許されない、化学準備室。
「せ、せんせ……今いいですか?」
準備室の扉を少し開けて中を覗くと、細長い部屋の奥でパソコンに向かって作業をしている先生の背中が見えた。
「先生……」
カタカタと音を立てながら指を動かす先生の返事を待たずに部屋に入り、扉を背に静かに鍵をかける。
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