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    岩清水

    @pocochan1910

    夢女です。夢書きの小説書きです。同担拒否は基本的にないですが、過度に同じキャラを好きすぎる人(人によってはそれを同担拒否というかもしれませんが)には拒否はあります。
    今一番推しているのは肥前と加州。気になっているのは水心子。
    雑多に色んなゲームをしていて、その分夢主みたいな存在はいます。そして、垢分けは基本的にめんどくさいのでしません。読みにくいかもしませんが、よろしくお願いします。

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    岩清水

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    かしゅさに。過去の絵じゃなくて、過去作品ですが。

    #刀剣乱夢
    swordAbuseDream
    #刀さに
    swordBlade
    #加州清光
    californiaClearLight
    #女審神者
    femaleInquisitors
    #かしゅさに
    forYourInformation

    私の初期刀 さあ、今年もやって来た玉集め!!

    「げっ!?落とし穴!!」
    「うわああああああああああああ!!」
    「安定ああああああああああああ!!」

     今年も今年で、阿鼻叫喚。去年よりは玉集めを妨害する札の威力が抑えられている。
     だから、周回するのは割と楽になったし途中撤退が去年よりも無くなった。玉集めでは苦労しないが、一番苦労しそうな事が出て来やがった。

    「あああああああああ!!楽器が来ない!!落ちない!!!」

     今回集まった玉を見ながら、ある物を探す。

    「また、周る?」
    「周る。後少しで、後琴が一個で加州の曲が手に入るんだ……。」

     去年の玉集めは、本当に玉集めだけだった。だが、今年からは近侍にした男士の曲が手に入る『楽器集め』も並行で開催される事になった。
     今回の近侍曲は審神者が最初で最後の自分の意志で選んだ初期刀五振りの曲。私でも知っている人が作曲して下さったらしい。
     初期刀という事は、私の一番愛おしくて大好きな彼の曲がある訳で。本刀は、余りの気合が入ったウチを見てどん引きしていた。

    「そこまでして手に入れたい物なの?そういうやる気が出るのって、寧ろ、小烏丸を手に入れる事にやる気でない?」
    「馬鹿言うな!お前の曲だよ!?訳も解らずに、政府から突然言われた初期刀の曲だぞ!手に入れないでどうするんだよ!!」
    「あー、はいはい。そこまで俺の事が好きなの解ったから、休ませてよ。曲は逃げないから。」
    「逃げる!!ここで手に入れなきゃ、次にいつ来るか分からないじゃん!!!」

     余りにも私がうざったいのか、我が初期刀ーー加州清光は耳を塞いで面倒くさいなという言葉を書いた様な顔で、溜息を吐いた。
     加州の言葉を聞く事にして、一旦本丸へ帰る事にした。

    「帰ったぞ。」

     丁度、本丸へ戻った頃、遠征に行ってもらっていた第二部隊の面々も帰って来ていた。
     隊長である山姥切国広の腕の中には、大きな小判箱が携えられていた。遠征は、大成功だったようだ。

    「お帰り~!」
    「楽器集めはどうだ?」
    「今回も出なかった。あと一つなんだけど……。」
    「そうか。」

     普段は遠征なんてさせないでいるけど、こういう小判が必要になってくるイベントではどうしても小判回収の為に出さないといけない。
     去年は、反発が多かったな~。あの時は、ごめんなさい。
    「で、何をやっているんだ?」

     今、休憩がてらパソコンを開いている。最近面白いゲームがあって、それをコツコツやっている。
     好きになったキャラもいる。そのキャラ目当てに何回も石を集めて回しても出て来ない。そのキャラは最高レアだから、強さは折り紙付き。だから出ない。
     解っていても何回も回しても出なくて、半ば諦めている状態。今回はピックアップで出ているから、これでピックアップが仕事しないなら、もうこのゲームを続けれなくなるだろうな……心が折れて。

    「ゲーム。今から、目当てのキャラを出す為にガチャを回してくる。」

     またか……。と言いたそうな顔でまんば君は溜息を吐いてくる。ちょっと前にも同じ表情を見たぞ!
     呆れて部屋から出ていくのかと思えば、ちゃっかり私の隣に座って画面をのぞき込んでいた。
     玉集めをやっているのに、ゲームをやる?うん、自分でも可笑しいって思ってる。

    「よし……やるぞ……。」

     無料の一回分を含んで十七連ガチャ。一回は最高レアを拝めれるだろう。その時の私は期待の眼差しで、パソコンの画面を見ていた。

    ――――

     夕餉の時間になった。それでも、主である審神者の少女と第二部隊隊長の山姥切の姿が現れない。
     加州は溜息を我慢せずに吐き出し、主の部屋へと足を運んだ。山姥切は主にでも巻き込まれて一緒にいるのだろうと、直感が言っていた。

    「おーい、夕餉だよ。」

     閉じられている扉を開くと、温かそうなモコモコの部屋着を着た背中と白い薄汚れた布を着た背中が座っている。

    「何やってるの?」
    「やっぱり……爆死だった。今回も……爆死だったよ……。」
    「ガチャが、爆死した。」

     今にも泣きそうな顔をする主と、眉を八の字に下げて心配そうに主を見つめる山姥切。言葉と彼女等の状態で、今目の前で繰り広げられている現状を理解した。
     常に横にいる加州も主が、最近やっているゲームについては知りたくもないのに色々と詳しくなっている。そして、どんなキャラが好きなのか、爆死の元となったキャラの事も知っていた。

    「何?俺達、特に博多の知らない内に課金でもして爆死したの?」
    「違う……今まで溜めたやつ。」
    「ならーー、」
    「うう……。課金すればいいの?そうじゃなきゃ出ないって?」

     遂には泣き出してしまう。握りしめた拳の上に、主の目から零れる涙が落ちる。

    「回さなきゃ出ない、そして回数も多く回さないと出ない。そんなの今までの鍛刀でもソーシャルゲームでもそうだったし理解してる。分かってる。でもさ……ここまで出ないのは、諦めるしかないよ……。」

     鍛刀でなら希望を持って諦められる。でも、このゲームは何回も主の心を折った。その度に気にしていないフリして、もう一回貯めなおして回した。だが、駄目であった。
     たかがゲームだけどされどゲーム。キャラが良い事だけに、爆死した時の反動が大きい。
     では、課金しろ。というが、無課金でやりたいのだ。
     一度課金をしてしまえば、競馬やパチンコの様に辞めれなくなる。一種の賭け事中毒になる。主はそれが嫌だったのだ。
     ゲームだけではならないとは言うが、面倒くさがり屋な彼女ではリアルの金を毎回課金すると目に浮かんで解っているのだ。

    「泣く程、悔しいの?」

     子供に諭すかのように、屈んで主と視線の高さを合わせる。主は涙を手の甲で払いながら、頷く。
     加州は一瞬、考える素振りを見せてから主に手を差し伸べる。

    「取り敢えずは、ご飯食べてから泣きな。別に泣く事を咎めたりしないから。」


    ―――――

     本丸の門には、彼女の第一部隊の面々が戦闘服を着用して立っていた。

    「ああ~晩酌でもしようと思ったのに~。」
    「ごめんって、次郎太刀。どうしても楽器を集めたいから。」
    「お?お前がこういうのにやる気を見せるって、珍しいな。何だ?アイツの為か?」
    「別に、俺がやる気を見せても問題は無いだろ。あのまま、ぐちぐちされていても困るだけだから。」

     主はあの後は、泣いてもいいと言ったにも関わらず泣かなかった。その代り、いつもの明るい彼女ではなくて、不機嫌だと前面に出している彼女であった。
     ゲームが原因だと、本丸中の男士全員の耳に入り、彼等は遠回りでゲームに触れずに関わるしかなかった。
     不機嫌であるが、ちゃんと受け答えはする。それが唯一の救いではあった。
     男士の中には、そんなになるのなら始めからゲームをやらなければ良かったのに、と思う刀剣もいた。

    「辞めろって言って、聞く様な奴じゃないしね。俺達の主は。」

     取り敢えず、今の状態を改善する為に考えたのは『近侍:加州清光の曲』を手に入れる事であった。
     加州を溺愛する彼女には、これが一番改善するのに効果が抜群だと男士全員が思った。
     そして実行する為に、第一部隊の面子である加州、大和守安定、堀川国広、和泉守兼定、鳴狐、次郎太刀が揃ったのだ。
     時刻は深夜を回っている。だが、秘境の里は期間の間二十四時間開いている。
     博多から小判を千枚貰い、交通手形三枚と交換した。今頃、主は友人に愚痴を聞いてもらっているのであろう。

    「よし、行こうか!!」

     こんな遅くまで起こしている馬に申し訳ないと感じつつ、第一部隊は秘境の里へと走らせた。

    ――――

     加州達の姿が無い。友人に話を聞いて貰っていた後、何か飲みたくなって部屋を出た。
     いつもなら賑やかな声が聞こえてくる加州達の部屋に明かりが無い。まだ、この時間なら起きているはずなのに……。
     部屋を開けたら部屋の中は無人。
     その後は慌てて本丸中を探し回った。でも、姿が無い。

    「え、何処か出掛けた?」

     ゲームだけで不機嫌になっていた事を謝ろうともした。なのに、姿が無い。もう、出掛けたとしか考えられない。

    「ただいま~。」

     玄関から声が聞こえた。加州の声だ。
     他にも安定や堀川君、兼さん、鳴狐のお供、次郎ちゃんの声もする。慌てて、玄関へ走って行った。
     それぞれ靴を脱いで段差を上がるウチの第一部隊。その手には見慣れた袋を持っていた。
     傷は無いこそ、服が所々汚れている。

    「玉集め、行ってきたの?こんな夜中に?」
    「うん……楽器集めに。」
    「何で!行くって言うなら、教えてくれても良かったじゃん!!」

     ついて行ったのに。置いて行かれた事がショックだった。
     折角、ネガティブさが無くなったと思ったのに、また復活しそうだ。

    「楽器は落ちなかった。どんな確率してるんだよ、あれ。……だから、明日の朝、楽器集めに行くぞ」

     ブーツを脱いで本丸に上がった加州が横を通り過ぎる時に、私の頭を撫でていく。

    「で、機嫌はもういいの?」
    「もうさ、回すのはデイリーだけにするって決めた!出ないなら一日一回でも同じだし。それに使うのがもったいないから、別の事に使えれる様に溜める事にする。」
    「そう。」

     確かに、楽器の姿が無い。玉だけしか集まんなかったんだ。

    「はい!主さんも部屋に入って、寝ましょう!!明日も早いんですから。」

     堀川君に促されるまま、当初目的である飲み物を飲まずに、寝る事にした。
     翌日、加州が乗る馬に乗せて貰い、玉集めもとい楽器集めに出掛けた。

    「痛くない?」
    「大丈夫。もう、馬に乗るのも慣れたから!!」
    「そう。ならいいけど。」

     政府から貰える三つの手形を使い、加州の曲交換に対しての最後の楽器を見つける為に周回を始めた。
     だが、一向に玉は増えるだけで楽器ーー特に琴が出ない。

    「出ない!!」
    「こんなに周っておりますのに、一気にでなくなりましたね。」
    「でも、あのゲームよりは出る。これだって、見事な『運ゲー』だ!!これだけは、絶対に勝ってみせる。」

     無料の手形を全て叩いた為、これ以降は小判と交換だ。貯まりに貯まった小判を使うとしても、この年末には連隊戦もある。程々にしておかないと、小判が無くなってしまう。

    「これ以上は、辞めておこう。次は午後に貰える手形から。」

     堀川君の案で、午前中はここまでにして午後にもう一度周る事にした。
     只、一つ問題があった。

    「午後って、ウチ、バイトだよ。」
    「そうじゃん!」
    「楽器集めはこっちがしとくから、アンタはバイトに行ってこい!!」

     兼さんの後押しで、午後は加州達だけで玉集めする事になった。自分が玉集めの場にいないのが、ちょっと寂しかった。

    ――――

     午後となった。
     午前中は楽器を拾ったと言えど、すでに条件を満たしていた楽器であった。だが、ある事には越した事はない。

    「アイツが本丸に戻って来るまでに、楽器揃えて交換しないと。」
    「加州殿!主殿にサプライズですか?」
    「さあね。」

     何回目の周回だろう。引いてしまった敵札から現れる敵を切り伏せながら、次の札を引いていく。
     敵を連続で引く事もあれば、玉の札を連続で引く。玉の数が二倍になる怪火を引けど、敵札を連続で引く。
     本当に運任せの催しだ。だが、それを一度クリアしている。今回だってクリアしてみせると、彼等は意志を固くしていた。

    「やった!最後の楽器!!」

     安定が小脇に抱えた楽器。それは最後の楽器である琴であった。これで全て揃った。

    「時間は!?」
    「亥の刻!」
    「主も帰って来ているだろね~。」
    「……万代屋行ってくれば?」
    「そうだね、鳴狐の言う通りだよ!」
    「行ってこい!清光!!」

     加州以外は本丸へ足を向け、加州は秘境の里から楽器を持って直に万代屋へと馬を走らせた。
    「はーい!もう、店締めをしますよ~。」
    「ちょっと、待ったあああああああああ!!」

     彼女達が置いている本丸の地区の担当とする万代屋。その店長であるオカミさんが、外に掛けていた万代屋と書かれた暖簾を仕舞う所であった。
     馬から降りた加州は持ち前の脚力で、オカミさんの元へと息を切らして駆け寄った。

    「あら、こんばんわ。」
    「まだ、買い物できる?」
    「本当は駄目だけど……御贔屓にしてくださっているもの!お買い物できますよ。」
    「じゃあーー、」

     お店の中に通された加州は、持っていた楽器を机に全て置く。

    ーーこれと、俺の曲を交換して。

    ――――

    『清光は後でちゃんと帰ってくるよ!』

     安定から聞いて早数十分。玄関で待つが、加州の帰りが見えない。
     出来る限りバイトが終わったら、足早に本丸へ帰る様にして帰って来た。どこを寄り道してるんだよ……。

    「ただいまー。」

     待っていた声が遂に聞こえた。いつもの加州とは想像もつかない程の泥臭い感じ。それでも、不思議と似合ってしまうのは惚れた弱みなんだと思う。
     汗を手の甲で拭いながら、玄関の段差で座っている私の姿を認めると、これ以上ない位赤い目を開いていた。

    「お帰り。加州がまだ帰って来ないって言うから、待ってた。」
    「はあ……本当に、アンタらしいよ。」

     降参と言いたげな顔で、手にしていた袋を私に渡してきた。レジ袋の中に紙袋。

    「何コレ?」
    「何って、アンタが欲しがってたもの。」

     開けても良さそうだったから、紙袋を開いて中身を出してみる。本みたいに平らで少し厚みがある。
     引っ張り出すと、案の定、本だった。その本の表紙には、

    「『近侍曲:加州清光』……。」
    「最後の楽器が手に入った。安定達には先に帰って貰って、交換してきたんだよ。」

     本、もとい楽譜を開くと書かれていた文字が浮かび上がってくる。そして、一つの塊となって待つ時の暇潰しに持っていた音楽プレイヤーに入っていった。
     恐る恐る音楽プレイヤーを操作していると、新しいファイルが出来上がっている。その中の一番目に『加州清光』の名前があった。

    「曲が……入ってる……。加州……曲……!!」
    「そうだね。楽器集めは、アンタの勝ちだよ」

     嬉しくって嬉しくって、涙が零れ始めてきた。まだ、後、四振り分に小烏丸が残っているのに、満足し始めている。

    「取り敢えず、早く寝なよ。起きるのが遅いんだからさ。」
    「加州だって!明日も楽器集めwith玉集めだからさ。」
    「分かってるよ!!」

     赤く塗らている爪が印象的な加州の手が、私の頭に伸びて力いっぱい撫でてくる。
     この手が気持ちいい。他の男士からもされるけど、加州が一番好き。加州の手が一番好き。

    「これで、元気出たでしょ?ちゃんと、主を見てくれる奴は画面の向こうじゃなくて、ここにいる。だから、たかがガチャで落ち込むな。落ち込む暇なんて、無いだろ?」

     色々やる事が一杯なんだからさ。
     撫でるのを止めて、私の隣を通り過ぎていく。

     私の愛刀は、普段は冷たい。それは初めて会ってから今日までの事だから特に何とも思わないし、寧ろ普通の加州清光とは少し違うから好きだ。
     でもね、私が落ち込んだり悩んだりすると、一応気遣ってくれる。私がやりたい事、目指す事に文句は言いつつも助けてくれる。
     そんな素敵な初期刀。

    「うん。有難う、加州!!」

     だから、大好きなんだ。
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