HAPPY JULY HOLIDAY 兄に頼まれて働き始めたバイト先は、オフィス街にある会社の一つだが何をやっている会社かはイマイチ分からない。CEOである兄に訊いても「お前は知らなくて良い」と笑顔で両断され、与えられた受付業務にも差し障りが無い為もう気にしないことにした。
「ヴァッシュ、21日だがどこに行きたい?」
「え?」
ランチタイムに兄に呼び出され、休憩室から社長室に併設されたテラスに移動して、手製の弁当のおかずを兄の昼食と交換しあって兄弟水入らずの時間を楽しんでいたときだった。
まるで以前から約束していたかの様な話題の振り方に、間抜けな声を返してしまった弟に兄は優しく微笑む。
「なんだ忘れたのか?俺達の誕生日だ、好きなところに連れてってやる」
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