唄「……顔色が悪い。大丈夫か」
「そうでしょうか」
荷物を運び込んで一通りの手続きを終えたあと、シマボシにふと、顔をじっと見つめられた。と思えば、突然こんなことを問われてしまい、咄嗟に肯定も否定もできなかった。頭の回転が、ここ最近は己にしてはかなり鈍っているような気がしていた。目の前に薄ぼんやりと何かの膜があるような感覚だった。今思い返せば、体の疲れにさえ気づけていなかったのかもしれない。
「確かに、あまり休めてはいないので。でもこちら忙しくしているのは仕事以外の要件ですし、気になさらないでください」
と言ったとき、自分の脚から力がふっと抜けて、体がぐらりと傾いたのが分かった。シマボシが驚いたように目を見開いて立ち上がり、椅子ががたりと音を立てた。そこまでは覚えていた。
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