とある考古学者の話 3「……だから、デズモンドの御曹司がマフィアに捕まっちゃったんです!丘の上の古城、知ってますよね?そこに来てください。そこで闇オークションが開催されてます!嘘じゃないですって!知らないの?オスタニアのデズモンド!……悪戯じゃありませんてば!あっ……!切れた……。」
アーニャは通話の切れた受話器を見つめ舌打ちをした。ダミアンにホテルに戻れと言われたアーニャだが、当然戻るわけがなかった。電話のある部屋に潜り込み、言われた通り警察に通報していたのだ。だが悪戯だと決め付けられ、一方的に切られてしまった。警察としてはこの国で幅を効かせるラオ・ファミリーと表立って揉めたくないのかもしれない。こうしている間にもダミアンがあの女に何をされるかわからない。頭の中でダミアンとシンイーが抱き合っている姿を想像し、アーニャは頭を掻きむしった。
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