互いの証……俺が あんたのモノだという証が欲しい
そう言って大典太から差し出されたピアッサーには私の誕生石が埋め込まれていた。
「本当にいいの……?」
私が尋ねると、大典太は小さく首を縦に振った。
私は震える手でピアッサーを受け取り、大典太さんの前に膝をついた。
彼の左耳に触れると、大典太の手が私の頬に添えられた。
見上げると、熱を帯びた瞳に見つめられていた。
その視線だけで身体の奥底まで溶かされてしまいそうな気がした。
「……痛かったらすぐに教えてね」
私はそう告げると、大典太の左耳にそっとピアッサーの先端をあてがい、ゆっくりと押し込んだ。
カチッという音がして、ピアス穴が完成した。
私は恐る恐る手を離し、出来上がったばかりの小さな傷口に指先で触れた。そこは微かに血で濡れていて、温かかった。
「これで……ずっと一緒だな……」
そう呟くと、大典太はふわりと微笑んだ。その表情を見た途端、胸がぎゅうっとなった。
「あのね、私もお願いがあるの……」
自分の右耳に手を伸ばしながら言った。
「……何だ?」
「私にも開けてほしいの」
「……!」
大典太は目を見開いて驚いていたけれど、やがて嬉しそうに目を細めた。
そして、何も言わずにピアッサーを受け取ってくれた。
大典太の前に再び膝をつく形で座った。
「……怖いのか?」
私の手が震えていることに気づいた大典太は優しく頭を撫でてくれた。
「ちょっとだけ……でも大丈夫だから」
正直言うと怖くて仕方がなかった。
だけど、それよりも愛しい彼にピアスを開けてもらうことが勝った。
「いくぞ……」
そう声をかけられたかと思うと、鋭い痛みを感じた。
思わず悲鳴を上げてしまった。
「すまない、痛いか……。だが、もう終わったぞ」
鏡を見ると、右耳には赤いガーネットの石がついたピアスが付けられていた。
「綺麗……」
「ああ……よく似合っている」
そう言いながら大典太は私を抱き締めてきた。
「ねぇ、大典太さん……キスしたい」
大典太の首に腕を回し、唇を重ねた。
舌を差し込むと、大典太もそれに応えてくれるように絡めてきて、口付けは次第に深くなっていった。
息継ぎのために一度離れようとした時だった。
「主……もっとアンタに触れたい…だめか?」
熱っぽい声で囁かれ、ドキッとした。
私だって本当はもっともっと大典太に触れて欲しいと思っているのだ。
恥ずかしさを堪えるようにコクンと小さく首肯すると
、
「……ありがとう」
と言って額や瞼に何度も優しいキスを落としてくれた。
押し倒されながら灯りが反射して輝いているピアスを眺めているうちに、また新たな欲が生まれてきた。
「あのさ、もう一個ピアス買わない?今度はペアで付けるの……」
そう提案すると、大典太さんは少し驚いたような顔をした後、「そうだな……」と言いながら微笑んでくれた。