雲深不知処の冬の朝
藍忘機の朝はいつも決まっている。
卯の刻ぴったりに目を覚ます。
傍らで眠る魏嬰の温もりをほんの少し抱きしめ、幸せを噛みしめる。
柔らかな温もりを起こさぬよう、慎重に褥を抜け出す。
身支度をさっと整え、いまだ夢の住人である道侶の柔らかな髪に口づけを落とす。
後ろ髪をひかれるように、勤めへと向かう。
その日の朝も静かに身支度を済ませ、道侶を振り返...
ずぼっ!!
...ろうとしたところで、足元に冷たいなにかが突っ込んできた。
「っ!!!!」さすがの含光君も驚いて肌が泡立つ。
足元を見れば黒い尻尾が裾から生えている。
「うぇいいん」
正体はがたがたと震え、温もりを求める魏嬰だった。
「さむ~い」とかすれた声が聞こえる。
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