When life gives you lemons, make lemonade.「ヴォックスのばか!ヒトデナシ!」
「如何にも。私は鬼だよ…ルカ」
昼下りの午後、青と白の陽光で満ちたダイニングにルカの批難の声が響く。
とんとんとん。自室から階段を降りながらシュウは苦笑した。
ダイニングを覗くと、ヴォックスは眉を下げて困った顔をしながら、手馴れた動作でホールケーキをカットして、皿に取り分けて。
ひと切れになった白いクリームの表面を掌で撫でる様に動かすと、甘く僅かに苦味を帯びた芳ばしい香りが拡がり、薔薇のような模様が現れた。
本日のケーキはメレンゲ仕立てらしい。
鬼火をバーナー代わりにしてるのはどうかと思うけど。
同じ動作を4度繰り返して、ミントの葉とライムの輪切りがたっぷり入った大きなデカンタと共にテーブルにサーブしてゆく。
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