「決まった……かな。」
スマートフォンのフォルダに収められた、数十枚の自撮り写真。
その中の数枚を厳選して、パソコンに取り込む。
加工ソフトと長年の経験で得た技術を駆使して、最高の一枚へと創り上げていく。
・・・アップロード完了。
トップページに並ぶ数々の写真の中に、新しい一枚が増える。
黄緑の瞳をした少女の写真が、何枚もモニター越しにこちらを見ていた。
ーーこの瞬間が、嫌いだ。
写真を撮るまでの期待感、撮った写真を加工する時の高揚感、そしてアップした後の恐怖感。
最初に評価が付くまでの時間が、とてつもなく怖かった。
ポンッ。スマートフォンがその時間の終わりを告げる。
『__があなたの投稿にイイネをしました』
「……はぁ。」
小さく息を吐いて、デスクチェアから立ち上がる。
何度この恐怖を感じてもやめられない。
承認されることの快感を、すでに知ってしまったから。