さよならの数と損の話 壺で寝泊まりするにあたって、旅人が木こり作業を面倒くさがったのが何よりの原因だった。
「……俺の人生は、無意味なものだったのだろうか」
「は?」
木材が足りないからごめんね、と一つしかないベッドに、鍾離先生と押し込まれたのはまだいい。いやよくないが。しかし互いに背をくっつけて、いざ眠ろうというときに——聞こえた言葉の内容と、全く悲しんでいなさそうな声色がなんともミスマッチで。
「え、先生どうしたの。つまり六千年以上分無駄とかそういう?」
「ああ……そういう考え方もできるな。どうしたものだろうか」
仕方ないので俺だけ、先生の方を向いた。どうしてそんなことを言い出したのか、というのも謎だが、言い出しておいて言葉の意味も理解していなさそうな……彼にしては珍しい物言いだった。
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