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    @naiteirunokai

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    2019年のスパコミで無配したむとうさんとの合同ペーパーで書いた話。
    スキャマンダー兄弟がちょっとしたけんかをする話です。

    #ファンタビ
    fantasy
    #ニュート・スキャマンダー
    newtScamander.
    #テセウス・スキャマンダー
    theseusScamander.

    Brother’s breakfast「朝食にはふつう、卵だろう? ちょうどそこに卵があったからポーチド・エッグにした。それだけだ」
    「じゃあ兄さんは、自分がいちばん好きな紅茶を勝手に淹れられて勝手に飲まれてもいいのか? そうじゃないはずだ。あれは何の変哲もない鶏卵だけど、僕がいま世話している動物にとっては貴重な栄養源、たんぱく質なんだ!」

    僕とニュートはトランクの前で、まるで旅行前に観光順路について連れと揉めるみたく――少なくとも何も知らない人間にはそう見えるはずだ――、ぐぬぬと互いを見合って両者一歩も引かず、件の卵について口論していた。
    きっかけは、共同で使っているキッチンに新鮮な鶏卵が二個、置き去りにされているのを見た僕がそれを使って朝食を作っただけのこと。
    しかしそれが、ニュートのトランクの中で今も鳴き声をあげている新入りの動物用の餌だったというのだ。

    「あんな場所に置いていたお前が悪い」
    「それは、そうだけど……」

    ニュートの口が元来よりますますへの字に下がるのを見て、これが兄の負い目というものなのか、僕は次第に悪気を感じ始めた。年長者たるもの、ここは頭を下げるべきだろう。謝りの算段を頭の中で立てていると、

    「兄さんに……兄さんに魔法動物の何が分かるんだ」

    ああ、この弟は本当に素直で、優しい偏屈屋で、いじっぱりだったことを忘れていた。本心では無いことを分かっていながら、僕は諭すように口にした。

    「彼らを誰よりも愛しているお前のことは、これでもよく分かってるつもりだ」

    頭をぽん、と撫でてやると、ニュートはまたしても不服そうな顔をした。この顔を愛おしいと思ってしまうのもまた、兄の兄たる贔屓目といえるのかもしれない。

    「マイ・リトル・ブラザー、どうか怒らないでおくれよ。今度は僕も彼らの世話を手伝うから、それで彼らへの理解を、お前への理解をより深める。どうだ? それで許してくれるか?」
    「……彼は本当に卵をおいしそうに食べるんだ。兄さんにも、……見せたくて」
    「そうか、そうか。僕はそれを見ているお前の喜ぶ顔も見たいぞ」

    ばつが悪そうにうなじに手を添えてぎこちなく表情を和らげた、不器用な弟に微笑み返す。

    「さあ、なかなかに罪深い朝食になってしまったが、どうだ、せっかくだし一緒に食べないか。その後で良ければ、トランクの中にぜひ招いてくれ」

    僕にとって、愛に満ち溢れたあの世界の水先案内人はお前だけだから。
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    DONEMP41の無配で書いた同棲ヘルテセ。天然たらしなテセとツンデレヘル。
    My suger muffinオーブンの前で仁王立ちし、数分にいちど中を覗き込んでいたら、匂いにつられてテセウスがやって来た。

    「そんなに覗いてたら日焼けしてしまうんじゃないか」
    「心配ありがとう。大丈夫だ」

    お前の皮肉にはもう慣れたよ、と言うと、皮肉のつもりはないんだけどなぁ、と返ってきた。両手にミトンをしたままである事に気づき、さりげなく外してテーブルの上に置く。俺は今、誰がどう見ても浮足立っているように見えるだろう。実際、焼き上がるのが楽しみであることは事実だった。小麦が焼ける匂いの元をたどってきた犬、もといテセウスにそれを勘づかれないよう、オーブンから適度な距離を取り他愛のない会話の端を投げかける。
    この家に来てからというもの、元々の趣味――趣味というには粗末な、最低限度の生活の一部、からの成長――である料理を良くするようになった。最初は酒のつまみや軽い朝食くらいだったのが、だんだん手の込んだものを作り始めるようになった。自分でもなぜこんなに頻繁に料理をしているのか分からない。ただ、新鮮な野菜の瑞々しさだったり、母国にいた頃は飽きるほど食べていたマッシュポテトのまろやかさだったりが、なんとなく昔より強く感じるようになって、理由も明白になっていないまま、本能に近い何かでキッチンに立つことが多くなった。
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    PAST【FB】1年生のテセウス・スキャマンダーと卒業数年後のアルバス・ダンブルドア
    ラブではないし将来的にもラブにはならない距離感のふたり
    テセウスとアルバス 大広間の一角がにわかに騒がしくなったので、テセウスは手紙に落としていた視線を上げた。扉の前で、長身の男性が教師と話している。鳶色の髪は、ほのかに濡れているのが見て取れた。外では雪が降っているらしかった。
     周りの生徒たちも、その男性の存在に気づき出したようで、長テーブルのあちこちから興奮した囁き声が上がる。鼓膜で捉えた名前に、テセウスは納得する。ホグワーツ魔法魔術学校に通う生徒で、その名を知らない者はいないだろう――アルバス・ダンブルドア。我が校始まって以来の秀才であり、呪文や変身、錬金術など多彩な分野で才能を高く評価されている、極めて優れた魔法使い。
     つい数年前までここに在籍していた彼が、今度は教鞭を取る側になるという噂は本当なのだろうか。それが現実となることを、多くの生徒が待ち望んでいる。収まるどころか徐々に大きくなっていくざわめきが、そのことをを表していた。テセウスは小さく嘆息し、母からの手紙を折り畳んでローブのポケットにしまった。愛すべき大広間だが、今は何かに集中するに相応しい空間とは言えなかった。
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    PAST【FB】テセウスの実体は出てきませんが気配は濃いめ
    お互いに噛み合ってないけど、まあ……それでも別にいっか……大人だし……という関係性の兄弟が好き
    ハグの日スキャマンダー兄弟 ロンドンの自宅、その地下に広がる、ケルピーを飼育している水場――そう呼ぶには、それはあまりに広大だったが――から上がったニュートは、体温の低下を感じて身を震わせた。構われたい気分だったのだろう、普段よりも幾分しつこくじゃれつくケルピーとの遊びに付き合ってやる時間が少し長かったかもしれない。けれど、優雅な角度をした水草の尾が上機嫌に水面を叩いたのを見て、ニュートは微笑んだ。魔法動物がのびのびと快適に、彼ららしく美しく生きることと天秤にかける価値のあることなど、そうそうない。寒さなど、シャワーを浴びて、温かいものを胃に入れれば済むことだ。
     水を含んで頬に張り付く前髪を指でどかしながら、ニュートは階段に足をかける。つい先ほどまで跨っていたケルピーの体について、脈動や、筋肉の動きかた、体温に思いを馳せる。ニュートは、魔法動物たちの体温をよく知っている。現在確認されている魔法動物のほとんどについてそうであったし、特に、この自宅の地下室や、トランクの中で飼育している彼らのそれは、正しく健康を維持することに直結するものであるので、暗記していると言ってよかった。
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