ソファ棺7 ド誕 あいつがいい。
そう思ったのは、出会ってから少し経ってからだった。
新横浜の地を初めて踏んだあの時。期待に胸を膨らませていた。何か凄いことが起きる。そんな気がしていたから。俺の直感はよく当たるのだ。
その勘は正しかった。冷静になってみればあいつが強かったのか、俺がうっかりしてたのか審議が入るだろうが。とにかく、今まで地に膝をつかされた試しなど無かったのに。きっちりかっちり意識を飛ばされてしまった。
ダンピール相手に負けてしまったのだ。それも戦わずして。ゲームの達人公務員は、後に「無血開城は攻略の基本だよ」とほざいていた。
ショックなどなかった。むしろ喜んだ。この土地には自分を殺せる相手がいると。俺に勝った事実、畏怖心を刺激する言葉選び。あとバナナのふかふかしたケーキもうまかった。殺される相手に望む条件の多くが満たされた。だから兄貴のようになれる日は近いと信じていたのに。
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