SS「ふぁ…」
「眠い?」
「うん。…ちょっとだけ」
深夜時間。リビングでオレとココはソファに座り映画を見ていたが、終わった途端に欠伸がでた。
ここ最近はお互い忙しくて、こうしてのんびり過ごすのは久しぶりだった。
ご飯を食べて、お風呂に入って、それからのんびりしようという事になり今に至る。
ココが近づいてきて俺の目尻を撫でた。
「まだ平気?」
「ん…大丈夫……」
擦ったせいで少しだけ赤くなった目尻を労わるように指先で撫でられ、ゆっくりと頬を辿って唇をなぞる。
顔が火照っていくのが分かった。
逸らしていた視線をココの方へ向ければ目が合う。
「イヌピー…」
返事の代わりにそっと目を閉じた。
「…ん」
触れるだけのキス。
けれど、優しくて暖かい。
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