SS「ふぁ…」
「眠い?」
「うん。…ちょっとだけ」
深夜時間。リビングでオレとココはソファに座り映画を見ていたが、終わった途端に欠伸がでた。
ここ最近はお互い忙しくて、こうしてのんびり過ごすのは久しぶりだった。
ご飯を食べて、お風呂に入って、それからのんびりしようという事になり今に至る。
ココが近づいてきて俺の目尻を撫でた。
「まだ平気?」
「ん…大丈夫……」
擦ったせいで少しだけ赤くなった目尻を労わるように指先で撫でられ、ゆっくりと頬を辿って唇をなぞる。
顔が火照っていくのが分かった。
逸らしていた視線をココの方へ向ければ目が合う。
「イヌピー…」
返事の代わりにそっと目を閉じた。
「…ん」
触れるだけのキス。
けれど、優しくて暖かい。
唇が離れ目を開けば、目の前がココでいっぱいになった。
オレは急にそれが恥ずかしくなって目を逸らす。顔の体温が上昇する。触らなくても赤くなっているのが分かった。
「イヌピー…こっち向いて」
まるで魔法がかかったかのように、ココに言われるがまま顔を上げれば視線が合った。
少し乱暴に口付けられる。ぬるっとしたものが口の中に入ってきて、俺の舌を絡めとったり吸ったりしてきた。
「ちょっ、…ま、待って。
ふぁっ…ココ…っ!」
熱を持った指先で脇腹をつ…となぞられる。そのまま手は下へとさがり太ももを撫で上げられた。
「んっ…。だ、だめだ!こんなところでっ!」
別に嫌ではない。恋人に求められるのは恥ずかしいが、とても嬉しい。
でも、こんな明るい普段寛ぐところでするには抵抗があった。
次からこのソファを見たら思い出してしまって座れなくなる。
上がる体温をどうにか抑え、抵抗する。
「…ここじゃなきゃいい?」
抵抗されることを不満に思いつつも、ようやく静止してくれた。
オレだって、シたくないわけじゃない。ココと繋がりたい。
声に出して返事するなんてことは相変わらず出来なくて無言で頷いた。
その瞬間、体が宙に浮いた。
俗に言うお姫様抱っこというやつだ。
「ちょっ、えっ…ココ!!」
「ベッドならいいよな」
耳元で囁かれた言われた意味を理解した途端、全身が真っ赤に染まった。
end