140字SS 5本『バトルはできないし文字も歪むけど、貴方は全部分かるらしい』
「誰も気づかなかったよ」
紙とペンを持つより先にクダリがそう言いました。体を起こしたわたくしをベッドへ押さえつけ、クダリは今日あった全試合の内容を事細かに語ってくださいました。
「早く喉治そうね」
黒の制帽を脱いでクダリは言いました。わたくしの代わりに体温計がピッと返事をしました。
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『この後めちゃくちゃ奢らされた』
休憩室に入るとそこは修羅場だった。白ボスは背筋を伸ばしてガチガチに凍りついているし、黒ボスはその横で仁王立ちだ。あんな顔は久しく見ない。
一体何のインシデントが……と血の気が引いたが、ふとテーブルを見やれば、黒三角が書かれたヒウンアイスの空の容器があった。
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