彼の自称完璧な存在たる主がゲームにかまけて、彼に完璧とは程遠い生返事を投げてよこしたとき、頭のなかにとある光景が思い起こされた。それは永い旅を経て再会したときの主の部屋が丸いものだらけになっていた光景だった。
それが自分を失った(と主が思い込んだ)ゆえの苦しみのあらわれであることは彼にもすぐにわかった。その光景にいろいろと思うところはあった――あったはずだが、めまいがするほどの強烈な嫉妬が、それを塗りつぶしてしまった。
その丸いものたちが彼の代わりになどならなかったことはなんの慰めにもなりはしなかった。「主が代わりを求めた」という事実が楔のようになって存在していた。たとえば自分がここへたどり着く前に、親も故郷も失った、しかも怪我をしているちいさなアルマジロが現れていたら、主はどうしただろうか?
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