それは青い春にも似て「………変じゃねえよな」
日曜日の昼間、人通りがピークに達している渋谷駅前。待ち合わせのメッカにもなっているガチ公前にKKは所在なさげに突っ立っていた。
行き交う人々を眺めつつ、彼等と見比べるように自分の着ている服を何回も確かめたりして我ながらとても落ち着かない。私服で誰かと何処かへ出掛けるといった事が久しく無く果たしてこの服装が最適解なのかもわからずさっさと答え合わせをしたくて堪らなくなっている。
らしくない、と自分で自分に呆れてしまうが仕方がない。暁人が「もし良かったら今度の日曜にKKと出掛けたい」とそれはそれは遠慮がちに言ってくるものだからKKは二つ返事で了承してしまったのだ。
一応自分と暁人は交際しているはずなのにデートらしきものをした事が未だになく──それに関してはKKは申し訳なさすら感じている。仕事が忙しい、なんて常套句どころか二人揃って忙しい日々だ。マレビト達は休みなんかくれやしない。
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