四月一日春空の陽気に暖められた空気が沈みゆく夕日と共に少しずつ冷えてきた頃。
平和な地球で今日も今日とて修行に励んでいたサイヤ人の激しい組み手の攻防がようやく止まった。
最後に振り抜いた交差する互いの拳が相手の頬を掠め、その下で牽制のように続けて前に出ていたもう一方の腕はそれなりの衝撃でぶつかり合ったままギチギチと競り合っている。
その体勢のまましばし続いていた睨み合いは、不意に悟空の顔がへらりと崩れたのをきっかけに終わりを告げた。
「今日はこのくらいにしねぇかベジータ?オラ、腹減っちまった…」
「……チッ」
空腹を訴える悟空へ舌打ちを返すベジータ。
少々切りは悪かったのだが、傾き赤焼けを増す陽射しが目に入ったのと己の腹も少なからず悟空に同意を示していたこともあり、それ程間を空けず腕の力を抜いた。
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