優しくて、やわらかい夜 ただぼんやりとしていた。
ふと時計を見れば日付が変わってしまっていて少し驚いた。明日も早いと言って部屋に戻って行った彼はすっかり夢の中の住民になっているだろうな なんて頭の片隅で考えて、またぼんやりと意識を夜に混ぜていく。
明日は遅起きでもいいかな、休みだし。でもな、彼は仕事だから朝ごはんも作ってやりたいし見送りもしたい。そうだ、しばらく出来てない掃除もしないと。明日は晴れるみたいだから布団も干したい。春のおひさまの下で干したらふかふかになるし。あぁ、今度の撮影の台本を読み返そうと思ってたんだ。あれ、この前撮影した雑誌の発売日が近かった気がするけどいつだったっけ。
そんなふうにいろんなことが流れ星のようにチラリと脳裏を掠めて、また消えていく。
2475