「何の用だ、人間」
赤と黒の硬い鱗に覆われた金色の眼が問う。
「特に用はないが、ここに神様がいるらしいと聞いたから顔を拝みにきたんだ。…ドラゴンよ」
不思議な鉱石で出来たドラゴンの巣は青や紫、緑、黄色など色々な輝きかたをしていて幻想的だ。その中に鎮座するドラゴンは確かに神に見えるかもしれない。人間なんてこのドラゴンの爪先に触れただけで死ぬだろうし人間の命を弄ぶことが出来るという点でも神に似ているかもしれない。
所々赤く光る鉱石があるのは人の血を吸ったのだろうか。この鉱石を採る為にどれだけの人が死んだのだろう…文献によると何百年も前からここの希少な鉱石を採るために国家プロジェクトとしてドラゴン討伐が行われているみたいだ。
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