ベッドの中で『爆豪、ちょっといいか?』
初めて仮免補講に出向いたその夜に部屋にやってきたのはやたら目の据わった男で、自分の目つきの悪さを棚上げにして何だが、こんな顔付きのヤツを部屋に招き入れるのはゾッとしねェと本能が告げた。だから、“よくねえ明日にしろ”って言おうとしたのに“早い方がいいだろ、なるべく早く終わらせて一緒に寝ような“だなんて会話にもなっていない、微妙に意味深な台詞をぶっ込んできたから一瞬思考が停止した、
それをいいことに不法侵入したやや物騒なポーカーフェイスはサイドテーブルを挟んで俺の目の前に陣取り、俺が作成した補講のレポートを覗き込んでいる。もちろん散々文句は言った、勝手に覗き込むな(顔が近ぇ)、1人でやれ(でもコイツの読み筋は悪くねェ)、悪かねぇ考察だ、次の補講は合わせ技やってみっか…って、いつの間にか絆されかけとるンじゃねェマジで調子が狂うっての。
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