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    eikokurobin

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    レニ/右爆/轟爆
    眠れぬ夜の小さな図書館

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    轟爆/リーマンパロ/ほんのりR18

    #轟爆
    bombardment

    勘違い 社会人になって最初の仕事はキャンプの企画だった。

    そのこと自体は特に驚きもない、別の会社に入った同期のうち数人は花見の場所取りだったらしいし、別の奴らはバーベキュー、入りたては皆似たり寄ったりのレクリエーションを担当するのもサラリーマンの通る道なのだろう、だが俺には大きな問題があった。

    (キャンプなんてしたことねえ)

    学生時代から唐変木と言われてきた俺は所謂遊びというものを殆ど知らない。新人が音頭を取ると決まっているこの企画だが俺に任せたらポシャるのは確実、誰か同期に詳しいヤツは居ないか聞いてみても特に見つからない。昨今は動画配信などインドアな娯楽が中心でアウトドアは人気がないのだという、だったらキャンプなんて止めて皆で動画配信でも鑑賞したらいいのにと思う反面、自分はその動画配信でさえも詳しくないのだと気付いて流石に少し危機感を覚えた。

    (もしかして俺は時代についていっていないのかもしれない)

    やっぱり俺にはキャンプの企画は荷が重い、上司にそう言おうとデスクに向かうと、

    『お、轟、丁度いいところにきた。この間渡したキャンプの企画、あれは同じ系列のもう一つの会社と組んでやるんだ、親睦を兼ねた企画だからな。で、こちらが向こうジーニアス社の新人君、2人で協力して企画してくれ』

    そういって紹介された向こうの新人は、パッと見ただけでも華やかな美形で俺は暫し固まってしまう。

    『どーも、ジーニアス社の爆豪勝己デス』

    これが勝己との出会いだった。

    +++

    開口一番キャンプしたことねぇんだと言われ、助けて欲しいと手を取られてすっかり呆れたが、それでも助けてやってもイイという気になったのは轟の顔のせい、芸能人かと思うほどに整ったツラで情けない顔して懇願されたら悪い気はしない。それにやたら蘊蓄を垂れ流して出しゃばってくる口先だけの使えねーヤツよりマシだろう、俺よりも高い身長に大きな手足、脱がなくても解る鍛えられた身体。昨今もてはやされている細マッチョなんか目じゃないズドンとがっしりした体幹は如何にもパフォーマンス良さげ、

    (何より俺のドタイプだ)

    社会人になって最初の仕事にしちゃ俺得過ぎる。すぐに企画を煮詰めるためのグループトークを作り、互いの進行度を照らし合わせることにした。

    『何だか交換日記みてえだな』

    何だそりゃ?おま、それ言葉のチョイスヤベーぞとひとしきり笑うと、俺やべーのか?と真顔で返してくるのには参った。

    『そのままでもいーと思うけど、面白れえし』

    そうか、お前が気に入ってくれているならいいかとこれまた誤解を招きそうな解答が返ってくる、轟はどうやら天然タラシの気があるらしい。さて俺にとってはキャンプの企画なんて朝飯前、全て順調に進んだが一点だけ、2日目の午後雨に見舞われた。勿論天気予報で雨は把握済み、早めに切り上げて解散し、実際に雨に濡れたのは轟と俺の2人だけ、

    『悪ィ、予想より早く降ってきやがった』

    俺は構わない、お前と一緒なら雨に降られても楽しいと、またしても誤解を生みそうな台詞をクソいいツラと共に差し出されて心がふわつく。だって今日で企画は終わり、当面轟と連絡を取ることはない。ソレが惜しくて、でもノンケに心を寄せたらどうなるかは知識として知っているからおいそれとこれからも宜しくなんて言えねェってのに、

    (あー、何かあっちぃ)

    柄にもなくのぼせちまったのか、フラフラ、クラクラ、グラグラ…?

    ア?

    +++

    突然倒れた爆豪の額に手を当てるとかなりの高熱、慌てて車に乗せたところで意識を取り戻し、

    『大丈夫だ、ちょっと疲れただけだ』

    悪いが家まで送ってくれと言われ、再び意識をなくした爆豪を抱き上げて部屋まで運び、雨に濡れたままじゃアレだから風呂場に連れ込みシャワーで流した。適当にクローゼットの中から寝巻きがわりになりそうな服を探して着せ、ついでに俺も爆豪の服を拝借する。更にはベッドの中でガタガタ震える爆豪を暖める為にベッドに潜り込み、すっぽり腕の中に入ってしまう身体を抱き締めて、そうしてマジマジと爆豪の顔を眺め、改めてすげぇ美人だと思う。

    (あっという間の1ヶ月だった、毎日グループチャットで会話していたけど実際にこうして会うのはまだ3度目、なのにすげぇ好きになってる)

    このまま終わらせたくねえ、爆豪が元気になったらこれからも付き合ってくれって言おう、そう思いながらいつの間にか寝てしまったらしい、

    『おい、何人のベッドで昼寝しとンだ?』

    と睨み付けてくる爆豪と目が合い早速付き合ってくれというと言い方!とキレられた。

    +++

    あれから毎日轟からメールがくるし、毎週末誘われる。一度家に入れたからだろう、最近は家にまでやってきて連日泊まっていく始末。いいツラを拝み倒せるのは悪くはないけれど一体どういうつもりなのか、まさか付き合ってくれと言ったアレでマジに付き合っていることになっているのか?いやいくら何でもそれはないだろう、

    (恐らく何も考えていねェンだろーな)

    俺がゲイだって知らないからこそベッドに入り込んでくるのだろう、そう思っていたのに。

    (何でおっ立ててンだ?)

    ベッドの中で背中に当たっているデカいチンコを一体どうしたものか、しかも、

    『爆豪のこと考えてたら立っちまった』

    寝ているならまだしも起きててこのチンコって、一体どう受け止めたらいいんだ?

    『なぁ勝己って呼んでもいいか?』

    それは、恋人枠にしか呼ばせねェって決めとるンだ、

    『ますます勝己って呼びてえ、なぁキスしていいか?』

    まさか、マジで?

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    DONE轟爆ワンドロのお題「触れる」でハロパロ轟爆おにしょた。【熱に触れる】



    ふっ、と右腕に何かが触れた。

    途端、男の集中力が途切れる。文字を追っていた意識を膝上の紙面から引き剥がして、焦凍は軽く瞬いた。
    秀麗な面差しを彩る長い睫毛が、読書に没頭していた余韻を払拭するように、一度、二度、空気を奮わせる。次いで、読書を中断させた要因を探すべく、紅白に分かれた髪の合間から、オッドアイの視線を動かした。
    目線を流した先、ぱたん、ぱたん、と金糸雀色の尻尾を揺らしながら、画集に夢中になっている幼子の姿が目に入る。
    豪奢なソファの上。男の右側から拳ひとつ分の距離を開けた座面に深く腰かけながら、半年程前に拾い上げた人狼の子供が、一心不乱に色鮮やかな挿絵を眺めていた。
    紅玉の瞳が、画集の中で展開される見知らぬ光景を前に、キラキラと鉱石のように輝いている。滴る血潮よりも尚、吸血の渇きを誘発するその瞳に、すうっとオッドアイを眇めながら、だが焦凍は手を伸ばすことなく、静かに幼子の姿を見守るに留めた。
    ツンツンと跳ねる尾と同様の髪色の合間からは、黒褐色の獣耳が覗き、書物への好奇心を示すように、元気よくピンと前向きに立っている。尻尾は、恐らく内心の興奮が無意識に発 2521