――
リビングにあるアドベントカレンダーはクリスマスまであと少しと、穴が空いてない部分は片手で数える程になってきた。今日もひとつ穴を開け、中に入っているチョコレートを取り出す。去年の入浴剤のカレンダーも良かったが、有名チョコレート店も悪くないなと銀の包装をめくる。
「準備できた〜?」
洗面台に声をかける。相変わらず朝が苦手なアレスは出発ギリギリまで忙しいらしい。出かける服は予め選び朝の準備は最小限にしているが、当日の寝癖の具合で準備の時間が相当ぶれることをセリスは知っている。もう少し、と声がかかるが、出かける前のアレスのもう少しは信用できないと暖かいコーヒーを入れ始めた。
「すまん」
マフラーを巻いて二人は街路を歩く。予定はあくまでも予定だからとセリスは予定の30分ほどになった腕時計を見る。映画などチケットで時間が決まっているものなら引き摺ってでも出すが(まずそんな予定は朝から入れないのが常だ)今日は買い物が大半だ。時間が遅れるのも興だと、冷水をかける真似はせずお互い口を出さない。どうせ帰りもぐだぐだと遊んで帰るのだ。
3133