C-3 C-3
「おーい、そこのあんた! ヘイ、ユー!」
通りの向こうからクラージィを呼び止める者がある。見覚えのある姿だ。頭と口を布で覆い、奇抜な模様の服を着た吸血鬼。シンヨコに来て最初に言葉を交わした相手だ。
「やっぱりそうだ、この間の! あれからどう……良いようになったみてえだな」
困っているならあの建物に向かえ。そう言ってドラルクキャッスルマークⅡを示してくれたのはこの男である。クラージィは男に心から礼を述べた。
「ありがとう、とても」
「お、日本語!」
並んで歩きながら互いに名を名乗る。男の名前は長く、クラージィには何度繰り返しても上手く言うことが出来なかった。
「仕方ねえ、ケンでいいよ。ケン」
「ケン、さん」
2402