もしも魔法が使えたら つけっぱなしのテレビから、賑やかな声が聞こえてきた。夕方のニュースが終わり、ゴールデンタイムのバラエティ番組が始まったのだ。甲高い声が気になって視線を向けると、知らないアイドルの女の子がしゃべっていた。今日はいつものレギュラー番組ではなく、二時間構成の特番を放送するらしい。
テレビの中の女の子は、特徴的な声をしていた。平均的な女の子よりも声が高くて、細く刺さるような喋り方をしているのだ。言葉を捲し立てる姿は、ルチアーノに負けず劣らずキンキンしている。珍しい人ものだ思いながら、ぼんやりと画面を眺めていた。
ソファの前に立つ僕を見て、ルチアーノは怪訝そうな顔をした。目を細めて僕を一瞥すると、呆れたように言葉を吐く。
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