ひみつのヒーロー個性的といえる人達は沢山クラスにいる。その中で怖いと感じるのが金髪で眉毛がなく目つきが悪いフィンクス=マグカブさん。身長も高くガタイがいいので隣じゃなくても近くに立たれると怖い。でも黒髪黒マスクのクラスの中でも小さいフェイタン=ポートオさんと金髪で長身で愛想がいいシャルナーク=リュウセイさんとよく3人でいる時はザ・男子高校生で馬鹿やってる感じでふふっと笑みがこぼれる。この前は体育の授業の終わりに自動販売機の前でジャンケンしてシャルナークさんが負けて3人分の飲み物買ってたり、その時にジャンケンに勝ったフィンクスさんは「ヨッシャッ!」とガッツポーズをしてて少し可愛く見えた。
放課後。日直の私は残って日誌を書いていた。部活には所属していないため1人で教室に残り丁寧に書いていく。赤く染っていく空。静かなこの空間も赤くのまれていく。日誌も書き終わり筆記用具を片付けていく。するとガラッと勢いよく教室のドアが開く。びっくりした私は筆箱が手からずるりと落ちてガラガラっと中身がこぼれていく。ドアの方を見ると赤く照らされた眉毛のない長身の金髪のフィンクスさんがいた。バタバタと駆け寄ってきて落ちた筆記用具を拾う。
「おい、大丈夫か?」
「はいっ、だ、大丈夫です。すいません。突然音がしたのでびっくりしちゃって…」
「わりぃ、急いでたからつい…今度なんか詫びするわ」
「そんな!?こんなのよくあることなのでいらないですよ!!」
「いや、オレの気が収まんねえから」
「そういうなら受け取ります……」
2人で落ちたばらばらに筆記用具を拾いながらファーストコンタクトを交わす。意外と優しい人なんだ。しかもちょっと律儀な一面があるんだな。見た目だけじゃはかれないからもったいないなと少し感じてしまった。
「そういえば何か急いでるようでしたけどフィンクスさんは何をしに来たんです?」
「そうだったわ、フェイが机の中にノート忘れたから取って来いって言われたんだった…ったくなんでオレが…」
「ふふっ、仲良しなんですね」
「まぁな。幼なじみってやつだよ。じゃーな、気ぃつけて帰れよ」
フェイタンさんの机の中からノートを2冊取り出して教室をまた凄い勢いで飛び出していく。廊下は走っちゃダメなんだよ。なんて言える訳もなく背中を見送る。
「私も日誌出して帰ろ…」
職員室の担任の机の上に置いて下駄箱に向かうと待ち伏せしていたかのような男子生徒が1人居た。1年の時に委員会で同じになったバスケ部の3年生の先輩だった。運動をしてるだけあって体はしっかりしていているだけで威圧感がある。
「覚えてる?ひとつ上の学年の去年委員会一緒だったオレのこと」
「は、はい…覚えてます…」
「オレさ、お前に惚れちまってさ。どう?オレと付き合わない?」
柔らかく話しかけてきてはいるけど目がギラついてて怖い。少しずつ退いていると下駄箱にぶつかった。この時間はほぼ生徒たちはいない。しかもこんな告白は受けたくなかった。目を逸らして震えて何も答えられないでいると右腕を引っ張って空き教室に連れ込まれた。抵抗ができずそのまま机に押し付けられてギラギラとした目で見下ろされる。
「どうなんだよ。彼氏いねぇなら別に付き合ってもいいだろ。嫌になったら別れてくれればいいからさぁ」
「ひっ、、ぃ……」
私の体目的がように太ももや腰や胸を触っていく。言葉がでない。悲鳴もだせない。突き飛ばせない。震えるしかできない。たすけて。誰でもいいから。こんな時間じゃ先生も来ない。赤く染っている空と部屋は緊急信号のようだった。
「ははっ、じゃあいいや、一発ヤらせてくれればいいよ」
衝撃的な発言をして無理やり制服を脱がしていく先輩。ブレザージャケットのボタンを外され、リボンも片方のボタンを外され、ブラウスに手をかけ、外しにくそうに焦らすようにボタンを外していく。涙があふれる。ああここで私は終わってしまうんだ。ぎゅっと目を瞑って早く終われと頬に涙が伝う。ガラッと勢いよく教室のドアが開く。びっくりして目を見開くとさっきぶっきらぼうに「じゃーな」と残したフィンクスさんいた。そして瞬間移動したかのような速さで近付いて私を女として殺そうとした先輩をぶん殴っていた。先輩は綺麗に並んでいた机を背中でなぎ倒しながら私の元から離れていく。
「だから気をつけて帰れよって言っただろ…とりあえず服着な」
私の顔を隠すようにばさりとフィンクスさんのジャケットが頭に被せられる。ゆっくりと体を起こし床にぺたりと座りブラウスのボタンをとめてリボンをつけて放り捨てられてたジャケットを少し払って身につける。
「何事だっ!!??」
机が倒れる音を聞いたであろう先生が教室に3人ほど入ってくる。私は何も話せずフィンクスさんのジャケットの中でポロポロと涙を流すしか出来なかった。話せない私の代わりに状況をフィンクスさんが話していく
「わかった。とりあえずフィンクス=マグカブは1週間停学だ」
悪いことしてないフィンクスさんが悪いようになってしまって申し訳なくなる。先輩は何回もその行為をしていた為、退学処理らしい。先生は暗く染る空を見てそのまま私たちを帰した。
「とりあえず、帰んぞ。ニケツだけどまあいいだろ」
「ごめんなさい。私のせいで…」
「気にすんな。お前が守れただけでいいんだよ」
「……ありがとうございます。」
街頭に照らされた私たちの影はひとつだった。
次の日。クラス内でフィンクスさんが先輩を殴ったと偏見にまみれた噂が回っていた。本当は優しくてかっこいい不器用なヒーローをみんな知らない。私とフィンクスさんだけの秘密。