優先順位念能力を発動する方が早いのか、それとも自身が盾になった方が早いのか。
狙われていると気づいたクラウンが、それを判断し、行動に移すのに数秒とかからなかった。
ごぽっ
腹部の裂傷のせいで、口から血がこぼれ落ちて小さな水溜りができた。
もし念を集中させていなかったら、今頃クラウンの体は横真っ二つになっていただろう。
「!クラウン」
「くじにふたり、」
崩れ落ちるように倒れかけたクラウンを支えたクロロが、ばっと言われた方向を見据える。
確かに強敵と言える存在が二つある。
決して気を抜いていた訳ではない、というのに感知できなかった。
しかし、今はその後悔に歯を噛み締めている時間はない。
「クラウン、少し揺れる」
「ん……」
向こうも戦力の分断が望みならすぐには追撃してこないだろう、と判断したクロロはクラウンを抱き上げ、地を蹴った。
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