『出会い』あれは俺がまだ小学生の頃、一人で祖父の家に帰省していた。夏場はよく祖父の家で過ごすことが多かった。その日、祖父と二人で川沿いを散歩している時に出会った。山から落ちて来たのか分からないが服は泥だらけで怪我をして靴の片方がなくなっているのを覚えている。最初は祖父も警戒していたが、子供だと分かるとすぐに近付いていった。意識がなく祖父が子供を背負うとそのまま家に連れ帰ったのだ。子供の手当てをしているときに目を覚ました。
「おおよかった、どこか痛いところはないか?」
「・・・」
もみあげだけ長い髪型で、顔立ちはとても整っていた。だが表情はなく無言のままだ。祖父はその子に話しかけるが反応がない。
「おい」
「ん?」
俺が声をかけるとこちらを見た。やはり感情はないように見える。俺は何となく気になって質問をした。
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