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    higanbana_26

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    higanbana_26

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    書きたいところまでとりあえず書いた死ネタのiskiです。nsが割とたくさん出てきます。かなり好き勝手してるので、なんでもいける人向けです。

    #潔カイ
    resolute
    #iski
    iskas

    いさかい死ネタ世一の乗った飛行機が落ちた。
    生存者は1人もいなかった。
    やっぱりあの時、一緒に行っていればよかったかもしれないと、手遅れの現状を見つめながら思った。

    「世一は今年のホリデーはどっちで過ごすんだ?」
    「ホリデー?あぁ、今年は日本に帰ろうと思ってる。お前は?着いてくる?」
    練習後のロッカールーム。そういや街の雰囲気が年末に染まってきたな、なんてことを思い出してなんとなくした質問に、世一はふっと笑いながらそう答えた。
    「いや、今年はいい。イヨとイッセイと3人でゆっくり過ごせよ。」
    「そうか?リョーカイ。父さんと母さん、お前がきてくれんの毎回すっげぇ楽しみにしてるから寂しがるかもしんねーけど」
    「……………」
    「あっ、ちょっと迷っただろお前。やっぱ着いてくるってんなら早めに言えよ。飛行機取らなきゃだし」
    ニヤっと揶揄うように世一が笑った。
    「……わかった。」
    着いてくる?という言葉が出てきたのは俺が世一の家で年越しをするのが毎年恒例みたいなものだからである。
    ブルーロックでの日常が終わりを告げ、高校を卒業してすぐBMに所属してプロとして活動し始めた世一。
    プロになっても相変わらず俺との得点勝負に勤しんでいる。まぁ、メディアもそんな世一と俺を相変わらず面白がっているみたいだが。
    ブルーロックを出てから変わったことといえば大きく二つ。1つは俺と世一は所詮恋人というやつで、かれこれそんな関係が続いて10年くらい経とうとしていること。ちなみに付き合い始めたのはブルーロックにいる間なので、厳密には変わったことは1つだけかもしれない。
    2つ目は、そんな俺と世一は共同生活という名の同棲を始めて、はや7年くらいが経とうとしているということ。
    変わったことといえばそのくらいだが、恋人になる前から世一の家族とは面識があった。

    ―初めに世一の家族にあったのはブルーロック時代のこと。年末年始は流石にブルーロックも休みになる。年明けまでそのままブルーロックに滞在するか、実家や母国に帰るか否かは各々の自由選択となっていたので、別段帰りたい理由もない俺はそのまま滞在することを選んだ。それを知った世一が何故か俺に潔家に来てみないかと言い出したのだ。
    「は?どういうことだ世一。俺とお前は特別な仲がいいわけじゃなければ、むしろ最悪に悪い方だろ。そんなやつをどうして自分の家に招こうだなんて思うんだ?」
    心底理解ができない、という顔で聞き返した。
    「え?あー…いや、なんていうかさ。ここ、年末年始は流石に殆ど人がいなくなるだろ?こんな広い施設で殆ど人がいない状態で過ごすのは、なんかさ、俺なら、寂しいなーって、思って…」
    まるで今考えました。とでもいうように頬をかきながら、ついでに視線も彷徨わせながら世一は答えた。
    「ハッ世一クンはお子ちゃまねぇ?安心しろ。俺はお子ちゃま世一クンと違ってこんなクソ広い施設に仮に1人でも別に寂しくなんてないからな。」
    嘲笑気味にそう返すと、世一はちょっとむかつきましたって顔をしながら、
    「そーかよ、皇帝サマに気なんか使おうとした俺がバカだったかもな。
    …まーいいや、父さんと母さんにはもう許可とってあるから、気が変わったらいつでも言えよ。」
    とかなんとか言いながらスタスタ自分の部屋の方へ歩いて行った。いやおかしいだろ世一。俺には許可とってないくせしてなんで親にはもう許可とってあるんだ。そんな疑問を抱きながらその後も紡がなく過ごしていたのだが、ネスもドイツに帰ると言い出したこと、残る人数がかなり少なく、年末年始の期間中は使用可能な練習施設も少なくなることなどが理由で、ブルーロックに残る意味があまりなくなったので、どうしようかと考えあぐねていたところ、世一の誘いを思い出して、結局その流れで俺はその年の年末年始を世一の家で過ごしたのだ。
    その時の世一の家の居心地の良さがなんとなく忘れられなくて、世一と恋人になった後も、殆ど毎年、潔家で年末年始を過ごすようになったというわけだ。
    だから、毎年恒例。

    今年も行こうか迷ってはいたが、なんとなくこちらで年越しをしたい気分だったのと、どうやらいつもは実家に帰省するネスが珍しく実家に帰らず1人で年越しをすることになりそうだと話していたので、それもあってのことだった。ネスに掃除でも手伝わせてやるか、くらいの気分でいた。世一は他の男だとあからさまに機嫌をわるくするというか、怒ってくるのだが、ネスだけはどうやら許されているらしく、ネスと俺が世一と俺の家で2人きりになることに関しては無関心というわけではないのだが、特別何かを言われたことも、責められたこともないので俺はたまにそれに甘えている。
    なので、今年の年末もそれに甘んじようと事情を説明すると、「そっか、別にいいんじゃね?ネス、ミヒャのことよろしくな」とのことだった。いやよろしくする方おかしくねぇか、と思ったが口には出さなかった。世一はちょくちょく俺に対して過保護だし、ネスなんて言うまでもないからだ。
    「分かりました。世一こそ、帰ってきてからやっぱりカイザーと一緒にいたかった〜!とか言って八つ当たりしないでくださいね」
    「するかよ、毎年そうやって八つ当たりしてくんのはお前の方だろ万年腰巾着」
    「は?」
    「あ?」
    「クソうるせぇぞ2人とも。この話は一旦ここで終わりだ。世一、イヨとイッセイによろしく頼むぞ。来年は必ず行くと伝えておいてくれ。」
    言い争いが始まりそうだったので割って入って止めておく。ネスは最初の方こそ俺と世一が付き合いだしたことに不服そうだったが今は諦めなのか慣れなのか、特に何も言わなくなった。むしろその後から無駄に世一と仲が良くなったような気がしないでもない。
    「おう。ちゃんと伝えとく。つーか、そろそろ帰るか。晩飯どーする?」
    「なんでもいい」
    「なんでもいいが1番困るの知ってるだろお前…
    明日明後日オフだしどっか食べ行くか?」
    「そうだな。別に特段支障もなさそうだしそうするか。世一はなんか食べたいのあるか?」
    「俺?そうだな…」
    「カイザー!外食なら僕も一緒しても?」
    「いいぞ」
    「やった!」
    「俺にも許可取れよなお前…まぁいいけどさ」
    ごちゃごちゃ喋りながらロッカールームを後にする。
    ネスがスマホでおすすめの店をピックアップしてくれたので、3人で気になったところをあーだこーだと厳選しながら帰路に着いた。
    3人で行動すると必然的に俺の意見が通ることが多いので、その日の夕食は結局俺が気になった店で済ませた。
    「そんじゃ、俺行くから。いい子にしてろよ、ミヒャ」
    年末。世一が日本に帰るので、ネスと2人で空港まで見送りに来た。ちなみにネスは運転担当だ。
    「俺は子どもか。」
    「はは、ごめんごめん、じょーだん。行ってきます」
    言いながら世一がこちらに手を伸ばしてきたので軽く屈んでやる。
    「ん」
    頬の辺りにそっと唇が触れた。離れていくと同時にそっと頬を撫でられる。暖かくて、こちらを慈しむような瞳と視線があって、世一に愛されてる実感を得る。少しばかり名残惜しい。やっぱり今年もついて行けばよかったかもなんて、今更そんな気持ちがよぎる。
    「気をつけて行ってこいよ、世一」
    「お前今日それ何回目?ちゃんと気をつけるよ、向こう着いたら連絡するな」
    ふはっ、と呆れたように笑いながら世一がそう返す。ついでに髪を撫でられる。笑った顔はいつまでも少年らしくて、俺はコイツのこういうところが大好きだ。
    「あぁ。待ってる」
    微笑みながらそう返す。
    「んじゃネスも、家のことと、ミヒャのこともよろしくな」
    隣にいたネスに視線を移す。
    「任せてください。カイザーのことはもちろん、家中ピカピカにして帰ってきた世一を驚かせてやりますよ」
    ふふん、と言う効果音が似合いそうな調子でネスが言う。
    「え?2人で掃除してくれんの?サンキュー、今度なんか奢るわ」
    「じゃあ最近掃除機の調子悪いんで掃除機お願いします」
    「家電かよ。がめついな」
    「なんか文句あんですか」
    「いや普通に飯とかだと思うだろ。
    ん〜ネスには普段色々頼んでるし、まぁいいよ。
    任せとけ、たけぇいいやつ買ってやる」
    ドヤ顔で世一が力こぶを叩く。いちいち可愛いな。
    「当たり前です」
    ネスがすんとした顔で返す。お前ら、マジでいつの間にそんなに仲良くなったんだ?

    「あ、てか流石にそろそろ行った方がいいな、ネス、向こう着いたらミヒャにビデオ通話かけるつもりだけど、年末年始のミヒャの写真、撮ったら送ってくれよ」
    スマホをチラリと見て、体の向きを変えて世一がそう言う。手を振られたのでネスと一緒に振り返す。
    「分かりましたよクソ世一。頼まれなくても撮って送りつけてやるんでさっさと行きなさい。飛行機乗り過ごしたら大変でしょう」
    俺の前で変な取引してんじゃねぇ。写真撮って送るくらいなら俺でもできるのになんでネスに頼んでんだ世一。と思ったが口には出さなかった。この7、8年で学んだ結果の諦めというやつだ。
    「おう、んじゃな。2人とも。」
    「世一、イヨとイッセイへの手土産、渡し忘れるなよ」
    「任せとけって。2人とも行ってきます。
    それと、ミヒャ、愛してるよ」
    はにかみながら、流れるようにそう言われた。少し、嬉しくなる。
    「ん、俺も愛してる。
    ほら、さっさと行け。飛行機乗り過ごしたら大変だろ」
    「2人して心配性かよ」
    くすりと笑いながらそう言われた。
    じゃーまたあとでな〜!と大きく手を振りながら世一が見えなくなっていく。俺もネスも、しばらくしたら日本に着いた連絡と、家に着いたら速攻でビデオ通話がかかってくるんだろうと思っていた。疑いもせずに、そんな未来を信じていた。

    ことに気づいたのは、2人で家の掃除をしながら、ひと段落したので休憩でもするかとテレビをつけたその時だった。
    「カ、イザーこれ、世一の乗ってった飛行機じゃねぇですよね…………?」
    俺がキッチンで2人分の紅茶を淹れている間にテレビをつけたらしいネスがそう話しかけてきた。妙に焦ったような顔だ。
    「なんの話だ?」
    「いや……これ………」
    紅茶を置いた俺にありがとうございます、と礼を言ってテレビ画面をわなわなと指差した。
    「?」
    あまりの焦りようにテレビ画面をチラリと見る。
    「……………………………………………」
    「………………………………………は、」
    乾いた笑いがこぼれ出た。
    だって。いや、そんな。

    『墜落事故』『原因は今のところ不明で―』『重症者は――』

    テレビのテロップとアナウンサーの淡々とした喋りが耳に流れてくる。
    テレビ画面に映っている飛行機には見覚えがあった。毎年世一が日本に帰るのに使っている飛行機だ。俺も一緒に乗っていくのでよく覚えている。

    「べ、別の時間帯の飛行機に決まってるよね!?!
    あっ、!ホラ、同じくらいの時間だとしても、別の機体の可能性だって…!!!」
    俺がことを理解して焦っているのが伝わったのか、ネスが思いついたように言う。身振りと手振りが大きくなっていて、テンパってるのがよくわかる。
    「…………………」
    確かに、別の機体の可能性もある。時間帯が別の便の飛行機の可能性も。でも、次の瞬間でそんな希望は打ち砕かれた。

    ―アナウンサーが、墜落した飛行機の便と機体名を口にする。
    ―世一の乗って行った、飛行機だった。

    その後のことはよく覚えていない。
    次々と入る速報を、アナウンサーが口にしていく。
    その中には、被害者の中に潔世一がいたという情報も確かにあった。そして、世一が、生死不明の重体だと言うことも。
    俺もネスも、空いた口が塞がらなかった。ただ、流れてくる情報を、耳に入れて、理解するのに必死だった。

    呆然としていると、俺の携帯に電話がかかってきた。
    イヨからだった。
    世一の運ばれた病院は日本の病院だと言うことと、状態が良くないのでできるならすぐにでもきて欲しいと言うことを言われたのをおぼえている。覚えている、というよりはそうだったらしい、が正解かもしれない。曰く、電話に出る気配のない俺にネスが気づいて、スピーカーにしてネスが俺の代わりに会話をしてくれたらしかった。電話を切った後のネスが、「カイザー、今すぐ日本に行きましょう。僕も一緒に行きますから」と、焦りながらも自分と俺の準備を済ませて、飛行機のチケットを取って、その後の何もかもをしてくれたのを覚えている。我ながらあの時の俺は随分気が抜けすぎていたように思う。柄にもなく、ネスがいてよかったと安心した瞬間だった。

    「みーくん!あっくんも!来てくれたのね!よかった、あのね、よっちゃんね……!」
    あっくんはネスのことだ。(年末以外もよく世一の家に遊びにくる俺は、ネスも連れてくることが珍しくなかったのでネスまでイヨとイッセイに顔と名前を覚えられているというわけだ。俺も世一もネスと呼ぶのでネスくん、かと思っていたが、いつのまにかあっくんなんてあだ名がつけられていた。ネスもそこそこ気に入っているらしい。)
    イヨは必死に今の世一の状態を説明してくれた。俺は放心状態だったのにも関わらず、俺やネス、イッセイの心配もしていたし、もちろん世一のこともずっと心配していただろう。自分だって辛くて苦しくて、痛いのは同じで、なのに周りに気を配れているイヨはすごく強い人だと素直に思った。

    それからどれだけたったか、覚えていない。
    世一と繋がっていた機械から音がしなくなった。
    イヨは放心状態で会話もままならない俺をずっと心配してくれていたらしく、手を握ってくれていた。そのおかげで、いくらか意識を保てていたと思う。
    ネスもイッセイも、見たことのない俺の抜け殻っぷりに驚いたのか、ずっとそばについていてくれた。
    俺はイヨにもイッセイにもネスにも何もしてやれず、ただじっと、世一が死んでいくところを、世一が死んだ事実を、受け止めることしかできなかった。

    ―通夜式と葬式とやらが終わってから、俺はようやくまともに頭を働かせることができた。

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